比喩表現がとても美しい小篇。黒い雲に覆われた世界で一人。命消えゆく彼が取り戻したかったもの。それは果たして、成るのか。あながち起きなくもないディストピアを考えさせられる。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(184文字)
「人間たちがおそろしい兵器によって巻き上げた塵」によって、空が鉛色に塗りつぶされ、夏という季節が消え去った未来の日本。最後の人類である少年は、ある決意をして走り出すーー。綺麗な映像が目に浮かぶような情景描写が、少年の悲壮さを際立たせます。短編ですぐに読み終わりましたが、読了の余韻が半端ない良作です!