8話 嫁たちとハワイ旅行、海



 高原こうげんじいさんに挨拶をした俺たちは、ホテルからほど近い、ビーチへとやってきた。


「なんだこりゃ……」


 ハワイ島の海。

 日本の海と比べてとても綺麗……という印象よりも先に感じずにいられないのは。


「無人の海って……怖いな……」


 白い砂浜とエメラルドグリーンの海がどこまでも広がっている姿は、壮観ではある。


 だがいかんせん誰も居ないというのは、少々怖い。


 と思ったらライフセーバーだけいた。


 このくそ熱いのに黒服を着ている。

 たぶん開田の家の人間だろう。


 熱いのにご苦労様です。


「お、にーさーん!」


 ぶんぶんぶん! と手を振りながら、我が嫁が足ってくる。


 真っ白いビキニに身を包んだスポーツ少女だ。


「おう」

「とーう!」


 真琴が離れた場所からたんっ……! とジャンプする。


 そのままコアラみたいに抱きついてくる。


「おまたせっ! どうどう、ぼく可愛いでしょ~?」


 俺から降りると、真琴がくねっ、としなを作る。


 真っ白い肌に、真っ白なビキニ。

 女子高生時代からさらに胸の大きさはパワーアップしている。


 体には無駄な筋肉は一切ないのに、お尻と胸にはたっぷりと。


「まぶしい……眼がつぶれるぅ……」


「えへへ~♡ ほらほら、もっとみていいんだよーう♡」


 そこへ……。


貴樹たかき~! まったー?」


 アンナをはじめとして、俺の嫁達がこちらに向かって歩いてくる。


 パレオタイプの水着の五和。


 真っ赤なチューブトップ水着のアンナ。


 ひなはワンピースタイプ。


「おお……壮観だ……」


 みんなそれぞれナイスバディな女性達なのでとても眼福である。


「……貴樹たかきさん、どう……かな?」


 五和がうつむき加減で、照れながら言う。


「……ごめんなさい、ひとりだけ、胸ぺったんで」


「あほか。Dカップもあってぺったんなわけないだろう。それに……似合ってるよ」


 五和は背が高い。


 前は胸の薄さにコンプレックスを感じていたけど、今はそのスタイルの良さも相まって、モデルみたいだ。


「……そ、そう、でふか……よかった、れふ……」


 顔を赤くして、かみかみな五和ちゃん。


「たーかき♡」「せんぱい! わたしたちのは!」


「ああ、それぞれとっても似合ってるよ」


「「いえーい!」」


 ハイタッチするとふたりのまりみたいなおっぱいがバルンと跳ねた。


 ……っと、あれ?


千冬ちふゆは……?」


 一人だけ姿が見えない。


「……千冬ちふゆさん、恥ずかしいって」


「なんかねー、若い子ばっかりのところに、おばさんの水着姿はちょっと……だってさー」


 とJD組。


「そんなことないのに。普通に綺麗だし」


「「「それなー」」」


 まあ、本人が来たくないのなら、意思は尊重してあげよう。


 でもちょっと水着姿は見たい。

 どんな感じだろうか……。


「おにーさーん? 鼻の下がのびてますぞー?」


 真琴が俺の鼻をきゅっ、とつまむ。


「別にそういうつもりは」


「せっしゃのおっぱいならどんだけ見ても良いから。ほれほれ」


 ぽいんぽいんっ、と飛び跳ねるおっぱい。


「グッド」

「えへー♡」


 すると五和が、顔を真っ赤にしながら……。


「……た、貴樹たかき、さん」


 ひかえめに、ジャンプする。

 揺れる……五和のおっぱい。


「……うぅうううううううう」


 途中で恥ずかしくなったのか、五和はその場にしゃがみ込んでしまった。


「マジ良かったよ」

「……ほんと?」


「ああ。ベリーグッド」


 五和は顔を朱に染めつつも、えへへと小さく笑った。


「しゃー! およぐぞー!」

「まこっちゃん、お姉さんと競争しない?」


「お、アンナさん、やるー?」


 ふたりが海へ向かって走り出す。


 俺は五和、ひなと一緒にパラソルの設置。


「そういえばせんぱい、部長……千冬ちふゆさん、ちょっと体調悪いって言ってました」


「体調が?」


「はい。なんか吐き気すると」

「……飛行機酔いかも、ですって」


 うーん、飛行機酔いかぁ。


 俺たちあんまり感じてなかったけどな。

 千冬ちふゆさん乗り物酔いとかあんましないタイプだし。


「心配だな。ちょっと様子見てくる」


 俺はパーカーを羽織って、ビーチからホテルへと向かう。


 と言っても、目と鼻の先なので、すぐにホテルには到着。


 こっから部屋までが結構あるんだよね。


 エレベーターで最上階へと向かう。


千冬ちふゆ? 大丈夫?」


 大きなベッドの上で、千冬ちふゆが寝ていた。


「たっくん……?」


「おう。気持ち悪いっていうから、様子見に来たんだ」


「……そう、なのね」


 千冬ちふゆの顔色が少し悪い。


 近づいて額に手を乗せるが、熱がある感じではない。


「医者呼ぶ?」

「……ううん、大丈夫。ちょっと吐き気がしたくらいだから」


「酔い止めもらってこようか?」

「……いい。横になってたらだいぶ楽になったし」


 千冬ちふゆが小さく微笑む。


「どうしたの?」

「……あんな子供だったたっくんが、気を使えるようになるなんてね」


「いつの話してるんだよまったく」


 俺は千冬ちふゆの綺麗な髪の毛をなでる。


「……海、いかなくていいの?」

「あとでもいけるし。それより千冬ちふゆのほうが心配だしさ」


「……たっくん」


 潤んだ目を俺に向けてくる。


 きゅっ、と下唇をかんで、もじもじとしだす。


 俺は知っている。

 千冬ちふゆが欲しいときの合図だ。


 俺は千冬ちふゆの唇にキスをする。


 ねっとりと舌をからめてくる。


「はぷ……♡ んく……じゅ……♡ ちゅぷ……♡ ぁ゛……♡ んぅ……♡」


 やがて千冬ちふゆが唇を離す。


「どうする? やる?」

「……いいえ、寝るわ。なんだかだるくて、体もほてって」


「そうか。マジで風邪かもしれんな」

「……いや」


 小さく、千冬ちふゆがつぶやく。


「……違うかも」

「そうなの?」


「……うん。あとでちょっと、薬局行ってこようかなって」


 薬局?


「俺が行ってこようか?」

「……い、いえ。こればっかりは、私、自分で行ってくる」


 なるほど、生理か。


 それか。生理なら男がいったらきまずいもんな。


「わかった。生理用品がいるなら真琴たちに頼めば買ってきてもらえると思うけど?」


「……ううん。それじゃないから。大丈夫」


 ? じゃあ何が欲しいんだ……?


 うーん……わからん……。


「……それより、たっくん。せっかく海に来たんだし、遊んできなさいな」


「いいの?」


「……ええ、こっちは大丈夫だから」


 気にはなるけど、逆に気を遣わせかねなかったので、俺は海へと向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【★おしらせ】

新しいラブコメを公開してます。


こちらも番外編も頑張りますので、よろしければぜひ!


リンクはこちら

https://kakuyomu.jp/works/16816927860130559865/episodes/16816927860186720722

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