おとぎ話③

 人魚姫がお城で暮らしはじめてから数日がたちました。王子様は美しい人魚姫を可愛がってくれ、人魚姫は幸せな毎日を送っていました。

 人間の世界は見るものすべてが新しく、とても楽しいものでした。


 ですが、ある時、王子と隣国の姫君との間で縁談が持ち上がりました。王子は人魚姫の前でため息をつきながら言いました。


「僕は本当はお見合いなんてしたくない。君とずっと一緒にいたいんだ」


 ですが、王子という身分である以上隣国との縁談を無碍にはできません。王子はしぶしぶ隣国にいる姫君に会いに行きました。


 ところが、その隣国のお姫様は、なんとあの嵐の日に王子を助けてくれた娘でした。

 王子は喜び、すぐにお姫様との縁談を整えました。


 王子が結婚することを知った人魚姫は悲しくてたまりませんでした。ですが、人魚姫にはどうすることもできません。


 人魚姫は、幸せそうに微笑む二人を、遠くからずっと眺めていました。

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