八インチ列車砲

八インチ列車砲


 島国である日本は沿岸防衛を主として考えていた。

 そのため砲台や沿岸要塞の建設が行われたが、長い日本列島を守るには大砲の数が足りない。

 そこで、整備されつつあった鉄道網を使い、敵の上陸地点へ迅速に大火力を提供できる列車砲の製造を鯉之助が進言した。

 こうして作られたのが八インチ列車砲である。

 八インチ一一三キロの砲弾を四十五度の仰角で二万メートルの彼方まで飛ばせる。

 これにより沿岸は勿論、沖合を航行する船舶への攻撃も可能となった。

 八インチにしたのは、小型化して三六〇度の旋回を可能とするため、海軍の装甲巡洋艦の砲弾と共用するため。

 性能に満足した陸軍は、一〇〇門の大量生産を決定。大量と思われるかもしれないが二八サンチ榴弾砲の生産数四〇〇門より少なく、鉄道による移動で機動的運用が出来る、射程が長いという利点から抑え気味となった。

 各地の要塞に列車砲を乗り入れさせる引き込み線を建設し、活用できるように準備を進めた。

 開戦後は、大陸にも送られ、旅順戦などで使用され、旅順戦は勿論、各会戦において後方の引き込み線から戦線を飛び越え砲弾をロシア軍陣地へ撃ち込み絶大な威力を見せる。


 変形

 八インチ列車砲は、輸送時と射撃時で砲身の位置がジャッキによって上下する。

 敵艦隊に対して山を盾にして反対側から長距離の間接砲撃を行う事を基本としていたため高仰角を求められたため砲尾が地面に接触しないよう、高い位置に仰角中心を持って行く必要があった。

 また、発砲の反動で砲身全体が後退するため、砲尾が地面に接触しないようにする必要があった。

 配備場所に穴を掘る事も考えられたが、設備側の工事が必要であり、射撃位置を制限されるため、却下された。

 同時に、鉄道輸送時、トンネルや鉄道連絡船の天井に引っかからないようにするために、低い位置へ持って行く必要があった。

 この二つ両立させるため、変形機構を取り付けている。

 インパクトがあるため、記録映像に残っている。




運用

 通常の砲兵中隊は四門から六門の野砲で編成される

 だが、八インチ砲は威力が絶大なため、一門で一中隊を編成する。その代わり中隊無いに観測小隊、弾薬輸送、警備、支援のための専門小隊が付属している。




一〇インチ列車砲

 八インチ列車砲の成功を見た日本陸軍は更なる列車砲の開発に入った。

 大口径砲の経験が無いため、海軍の旧式艦載砲の流用だったが、八インチ以上のため有効だった。

 部品共用のため、大砲の口径の整理を行っていたため、不要となった一〇インチ砲が与えられた。

 ただ、建造中の沿岸砲艦へ回されたため、結果的に新造する事になって仕舞った。(それでも戦域が重なる上、部品の共用により維持費が安くなった)

 海軍の戦艦用一二インチ砲の流用で行われた。

 日本海海戦後は海軍の必要性が少なくなったため、また超弩級の建造に入るため一二インチ砲が余る事を見越して一二インチ砲搭載で予め設計されており、建造は簡単だった。

 既存の車両も簡単な改造で一〇インチから一二インチへ変換している。


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https://kakuyomu.jp/works/16816700426733963998/episodes/16817139554516755423


 

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