改ホランド艇

 世界初の実用的な潜水艇を作ったホランドに鯉之助が依頼して新たに設計し建造させた改良型。

 最初のホランド艇は内部に魚雷発射管一門を搭載し、魚雷二本を載せていた。

 だが再装填の手間がかかるため、再度発射する機会が無いと鯉之助は判断。

 魚雷発射管を外付けし、使い捨てにすることで再装填に必要な人員と機材を減らし、小型化を達成した。

 そのため形状は元のホランド艇から大幅に変化し、第二次大戦に活躍が期待された日本海軍の小型潜水艇海龍と似た姿になった。

 実際、ミリオタの鯉之助がメタ情報――自分の記憶から海龍を思い出して図面を描き上げ、ホランドに作らせた。

 機関は、蓄電池で動くモーター駆動。

 だが、特筆すべきは新開発の小型ディーゼルエンジンで駆動する発電機を搭載しており、充電可能。この方式により航続距離が伸びた。

 そしてこれまでガソリンエンジンのため燃料のガソリンが内部に漏れ出し爆発する事故が皆無となり実用性は大幅に向上した。

 また、潜望鏡を改良した吸気口を設けており、水中でも充電可能。引き込み燃せきるので実用性が増した

 完全な潜水航行が可能で敵から発見される危険を低下させることが出来る。

 以上の様々なアイディアにより、排水量を二〇トンまで軽くすることが出来た。

 軽量化により母艦のデリックやクレーンで吊り上げることが出来るようになり実用性は更に向上した。

 当初は局地防衛用にしか使えなかったが、母艦による輸送が理論上、可能になり、試験部隊の努力により遠隔地へ母艦で輸送し作戦行動できるようになった。

 おかげで初陣を旅順で飾ることになる。

 この成功により、海援隊は航洋型の大型潜水艦の開発へ乗り出すことになる。

 その航洋型も基本設計と方針は、外付け魚雷発射管から元の内蔵式水中魚雷発射管に戻した以外は、この改ホランド艇を基にしている――ディーゼル発電、モーター駆動、潜望鏡改良スノーケルなどのちの潜水艦の原型となった。


 排水量20トン

 全長18m

 船体幅1.4m(翼を含めると3.5m)

 推進器 ディーゼル発電機、電動機、蓄電池一〇〇個

 水上6kt

 水中8kt

 航続距離 水上4kt200海里、水中2ktで8時間

 乗員4名 艇長、操舵、航海、機関

 兵装 四五サンチ外装式魚雷二本


 日本海軍ははじめ興味は無かったが、海援隊の動きに刺激されてオリジナルのホランド艇三隻を購入した。

 しかし、艇としては大きすぎ、性能が低すぎたために実用性に乏しく、限定的な港湾防衛にしか使えないと判断。

 母艦に乗せられる海援隊の改ホランド型を購入し潜水艇部隊を発足させた。


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https://kakuyomu.jp/works/16816700426733963998/episodes/16816927859699377659


作者メモ


 実際、日本海軍は日露戦争で戦艦二隻の喪失を補うためにホランド艇を五隻購入しています。

 しかし登頂したのは戦争が終わってから。

 最初のお披露目は日露戦争の凱旋観艦式です。

 世界最初の実用潜水艇ですが、まだまだ未熟なところがあるので実戦投入は無理だったでしょう。

 でも、現代で活躍する全ての潜水艦の元祖が登場したので改良を加えれば実戦参加が出来るのでは、と思い登場させました。      

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