工作艦 明石

工作艦 明石


 来る日露戦争で損傷艦が多くなると考え、また旅順近辺での戦闘を想定して、損傷後すぐに修理を行い戦列復帰させる事の出来る工作艦の必要性を鯉之助が考え、建造させた艦。

 名前は第二次大戦の時活躍した日本海軍の工作艦明石から取っている。

 丁度、海軍の防護巡洋艦に明石があったが急速な海軍軍備の拡張と技術の進展により、就役後旧式化。新型艦を建造するために予備艦に指定された。

 そして独立したばかりのフィリピン共和国の海軍力増強のためにフィリピン海軍に売却され、空いた名前を使用した。


 はじめは、沿岸作戦のみを考えていた海軍や、修理以外に使えず平時に存在価値がないとして海援隊の中でも建造に反対意見もあったが、鯉之助に運が巡ってきた。


 日露開戦が迫る中、海軍と海援隊では軍艦の建造能力向上が議題となった。

 戦力増強のために艦艇を建造したいが、日本のドックは一杯だった。

 建造が進められていたが、増強された船舶の維持修繕のためのドック入りが多くなったからだ。

 造船も修理も同じくドックで行うために、修繕にドックを使われると建造が出来ない。

 だが建造を優先すると艦艇の維持が出来ない。

 船は定期的に修繕しないと動けない。

 荒い海に常にゆられており、何処かしら損傷しているし、船底には牡蠣殻や階層が付着するし、機関には煤が溜まり出力が低下する。

 長期間ドック入りできない、手入れが出来ない船は能力が低下するのだ。

 そこで、鯉之助が提案した工作艦明石の出番だった。

 修繕の一部をドックを使わず工作艦でやってしまい、ドック入りを短縮しようというのだ。

 これまでは艦で出来ない修理はドックに全て持ち込んでいた。

 その一部を工作艦が肩代わりしてドックに空きを作らせるのだ。

 鯉之助が計算させたところ工作艦一隻で海援隊と海軍の艦艇が年間で行う修理の三分の一を賄うことが出来る事が判明し、その分建造にドックが使える。

 こうして明石の建造が行われた。

 船体は平甲板型にして艦首に艦橋、艦尾に機関室、間に工場とガントリークレーンを装備させた。

 船首から艦尾まで段差の無い平甲板のため資材の運び出しが簡単で露天での作業効率が高まり作業効率が良かった。

 艦内工場は、内地の工廠にさえ置かれていない海外製の工作機械が設置され、修理能力は大きかった。

 明石の就役により、修繕能力は高まり予定通り、ドックの空きが増え、艦艇建造が加速することになる。

 日露戦争においても前線での修繕能力、修理能力が向上し、前線の艦艇が常に全力を発揮できるようにしており、まさに縁の下の力持ちである。

 明石の能力を認めた海軍も海援隊も泊地での能力向上のため明石の同型艦を建造しており開戦時二番艦が公試中、三番艦が建造中。


排水量一万トン

全長一五〇メートル

全幅二〇メートル

無補給で三ヶ月間の作業活動が可能

兵装 一五.二サンチ単装砲二基

速力 一八ノット

機関 蒸気タービン二基 推進軸二軸

搭載艇 一一メートル内火艇二隻 一二メートル内火ランチ三隻 一二メートル通船二 大発二隻 


一番艦 明石 室蘭造船所

二番艦 三原 大神造船所

三番艦 桃取 佐世保海軍工廠 海軍所属


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https://kakuyomu.jp/works/16816700426733963998/episodes/16816700429508747124

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