ドレッドノート
兵器紹介 ドレッドノート
超弩級、超ド級の語源である英国の戦艦ドレッドノートは世界史に残る画期的な戦艦であり、全ての戦艦はドレッドノート以前と以降に分かれる。
前弩級と呼ばれる以前の戦艦は三笠のように一二インチ連装砲を前後に一基ずつ、合計二基搭載するのが通常であり、副砲の種類と配置が異なっていても主砲に関しては国籍を問わず当時全ての戦艦が同じような配置だった――そのためこの時代の戦艦を標準戦艦と呼ぶことがある。
これは機関がレシプロで重く出力も低かったため、この装備が限界だったからだ。
だが、戦艦の装甲が進化するにつれて主砲以外の大砲では有効な打撃を与えることが出来なくなってきた。
そして、軽量高出力の機関、蒸気タービンの発明により機関の増設、速力アップ、より多くの武装を搭載する事が可能になった。
また、イタリアのクニベルティ造船中将が提唱した新戦艦の構想に刺激を受けており、ドレッドノートの構想は具現化しつつあった。
そしてネルソンに次ぐ英国海軍史上の重要人物であり、英国海軍近代化の父ジョン・アーバスノット・フィッシャー提督の指導によりドレッドノートの建造が行われ完成した。
攻撃力の低い副砲を対水雷艇用以外廃止し、主砲の搭載に全振りすることで、連装砲五基、合計十門の一二インチ主砲を搭載した。
主砲が統一されたことで遠距離での砲撃が可能になった。
特に、日露戦争での黄海海戦で日本海軍が使った統制射撃と斉射――従来の砲側で各個に射撃、修正を行うのでは無く、砲術長の統一指揮の下、砲撃、修正を行い遠距離射撃に対応していた。
この戦例を重視しドレッドノートの基本構想が固まり、突貫工事で進められた。
射撃式装置と統制射撃、弾着修正によって一万メートルでの砲撃が可能となり、交戦距離が伸び従来型の戦艦に対してアウトレンジでの攻撃が可能になった。
そのためドレッドノート一隻で前弩級戦艦二.五隻分の働きをすると言われるほどだった。
ドレッドノート誕生により、前弩級戦艦は建造中も含め全て旧式艦となり、ドレッドノートクラスの戦艦を持つことが各国海軍の戦力を測る指標になってしまった。
しかし、一番の被害を受けたのは建造した英国だった。
前弩級戦艦の保有数が当時世界一位――二国標準主義といって海軍戦力第二位と第三位を上回る海軍力を保有する方針だったため前弩級戦艦の保有数も多かった。
しかし、ドレッドノートの就役により、新たな軍拡競争が一からスタートする事になって仕舞った。
特に独逸は海外の植民地を求め海軍力増強を増強、英国と軍拡競争を行うことになる。
以降、第一次大戦中に至るまで、英独双方が最新技術を有する戦艦を大量建造することになる。
一方、ドレッドノートは最初の革新的な戦艦故に、最も古い弩級戦艦となって仕舞った。
一二インチを超える一三インチ、一四インチ、一五インチを搭載する戦艦が続々と就役したため、一二インチ砲では戦力が劣ってしまったのだ。
しかも二一ノットの速力も、巡洋戦艦という二七ノットを出せる艦種が出来たため、劣ることになる。
第一次大戦でもユトラント沖海戦では整備のためドック入りしていたため参加せず。
生涯の戦果は体当たりによる潜水艦U-29の撃沈のみだ。
注:これは戦艦が潜水艦を撃沈した唯一の事例である。またU-29の艦長ヴェティゲン大尉は前職のU-9艦長のとき、開戦劈頭英国の装甲巡洋艦三隻を一日の内に撃沈する成果を上げている。
諸元
排水量
常備 18110トン
全長 160.6メートル
最大幅 25メートル
喫水 8メートル
機関 石炭重油混焼缶18基 パーソンズ式直結タービン4軸
最大出力 23000馬力
最大速力 21ノット
乗員 773名
主砲 一二インチ(30.5サンチ)連装砲五基
副砲 一二ポンド(7.6サンチ)単装砲27基
水中魚雷発射管五門
作中のドレッドノート
一九〇〇年に全ての技術が揃いつつあったが、建造に至るまでには至らなかった。
必要性は感じられていたが、史実のドレッドノートが建造されたのは日露戦争の結果を受けた後の1905年10月起工、就役は1906年12月だった。
日露戦争中の黄海海戦での様相、当時としては長射程の一万メートルでの砲撃戦となったため、各砲門の独立打ち方より、統一された斉射が重要と考えられたからだ。
日露戦争より前に建造を進めさせる為にはトリックが必要だった。
そこで、鯉之助がフィッシャー提督とクニベルティを引き合わせ、海援隊が提案し資金援助を行い、当選したばかりのチャーチルが英国議会で必要性を訴えたため、史実より建造が五年早まった。
建造に時間が掛かったが、三年早くドレッドノートは完成した。
直後に皇海も完成し、海援隊へ引き渡された。
以上の様な経緯から、皇海はドレッドノートの準同型艦に近い。
だが、皇海は様々な魔改造が施されているため、事実上ドレッドノートより更に一つ世代が進んでいるといっても過言ではない。
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