真相
彼女の仕組んだトリックとは、こうだ。
「トリックアンドSNS、あとは分かるよね」
このワード自体には意味はない。時期がハロウィンだったという理由で「トリックオアトリート」から取ったのだろう。
ワードの内容に関して深く憶測をしたまとめサイトは、彼女の予想通りに暴走をした。
中には目立とうとした『バズり』勢力も加わり、カオスとなったのは言うまでもない。その様子は、悪い意味でもパーティーと言えなくもないだろうか。
【〇〇地区のハロウィンイベント中止に?】
【芸能人〇〇のパーティーイベントに脅迫文が?】
他にも事例はあるだろうが、複数事例をあげなくてもどうなるかのオチは読めばすぐにわかるだろう。
当然、これらの文章は全てフェイクニュースである。この時期にゲリラ的なパーティーイベントを開いたら、大パニックになるのは確実だろう。
それに加え、ハロウィンイベントも場所は全てバーチャル空間、メタバースでのイベントに100%さし変わっているのだ。
こういったニュースが全てまとめサイトのアクセス数稼ぎによる煽り、SNS炎上を狙ったものなのは言うまでもない。
その後は該当するフェイクニュースは瞬時に通報され、ニュース番組などで取り上げられることなくまとめサイトや『バズり』目的のユーザーは闇に消えた。
彼女の一連の行為自体は褒められたものではないというよりも、単純に向こうが憶測で記事を書いた事が原因なので……ここから先は言うまでもないだろう。
様々な発言には裏があり、その真相を全て読み切るのは超能力者などでもない限りは不可能だ。
だからこそ、我々はSNS上における発言でも慎重でなければならない。
このサイトの発言でさえ、裏を読まれたことでSNS上で拡散されて大炎上しないとは言い切れないからである。
それを踏まえれば、今回のハロウィンを巡る案件も「バーチャル配信者の発言が元凶」と断言する事は出来ないし「まとめサイトが暴走した事による自滅」とはいえるが、それだけの事とも言い切れないだろう。
ネット上でも大きな話題となったこの事件は、今後も様々な問題提起としてSNS上におけるマナー学習ツールなどとしても利用されるかもしれない。
今、この作品を読んでいる君たちも今回の事件を他人事と考えて「自分は問題ない」と考え、些細な発言で炎上することもあるだろう。
だからこそ、我々はSNS上の炎上案件をジャンルに無関係だからと放置するのではなく、気になる話題だけでも「反面教師」として拾っていくのが必要なのではないか?
一連の事件をまとめて思ったのは「SNSの炎上は些細なことから起こり、それが想定外に拡大していく」ことだ。
SNS炎上をゼロにするには規制法案ありき……も違う。結局は同じことの繰り返しかもしれない。
だからと言ってその原因を全て規制して炎上ゼロにするのも……明らかに違う。
我々は、どうすればSNS炎上のない世界を生み出すことができるのだろうか?
それこそ、あのバーチャル配信者の言った「トリックアンドSNS」というワードには何かあるのでは、と思わざるを得ない。
トリックアンドSNS アーカーシャチャンネル @akari-novel
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