トリックアンドSNS

アーカーシャチャンネル

本編

 ハロウィンと言えば、大抵は「トリックオアトリート」……つまり、お菓子かいたずらか、というワードが思いつくだろう。


 しかし、今年のハロウィンは何かが違った。実際にテレビを見てみると、町を出歩く人は非常に少ない。買い物で止む得ないというケースが多かったのである。


 バーチャル配信者である彼女も、テレビのニュースを見て違和感を持つ。状況が状況なので人通りが少ないのもある程度の理由はある。


 それでも彼女にとっては、この状況をある種の陰謀と考えていた。どういった同調圧力を使って、一連の事件を起こしたのか?




 こうした状況を作り出したのは、いわゆる「自粛警察」に代表されるようなSNS炎上でアフィリエイトなどの荒稼ぎを行う勢力だった。


 SNS炎上勢力の影響で、ハロウィンのイベントはバーチャル空間がメインとなり、今や空前のメタバースブームとなっている。


 これを歓迎するような人たちもいるかもしれないが、状況を作り出したのが自粛警察なので心境は複雑と言えるだろう。


 いわゆる「大規模スポーツイベント」などの影響で警備が……というような理由であれば納得はするだろうが、自粛警察がやっていることはデマやフェイクニュースなどの拡散でイベントを次々と中止にしている。


 こうした行為が許されれば、日本国内でイベントと言えばリモートかメタバースの二択となるのは間違いない。確定的に明らかだ。


 このような行為を野放しにしておけば、いずれ炎上勢力というなのマフィアが支配する国になるのは時間の問題だろう。


 そこで、彼女はある手段をもって一連の勢力に対して「ネット炎上は犯罪である」と教える必要があると考えた。



 その手段とは、まさかのマッチポンプだったのである。そして、実行された翌日に大きな動きを見せた。


 自粛警察をはじめとした勢力は晒し上げなどをされたのではなく、自然消滅。それに便乗しようとした週刊誌やマスコミなどと共に炎上し、消滅することになる。


 なぜ、このような状況になったのかは仕掛けた彼女の方も分からない。彼女は生配信で一言言及しただけなのである。


「トリックアンドSNS、あとは分かるよね」


 このワードにどのような意味があったのかは彼女にしかわからないが、自粛警察やまとめサイト勢力が様々な憶測でフェイクニュースやデマを拡散した結果、自滅をしたのが真相だった。


 彼女の行動はSNS上でまとめ記事が出来上がり、話題となったのは言うまでもない。しかし、本当に都合よく自粛警察などが消滅したのだろうか?


 一部には民度の低いユーザーがトカゲのしっぽ切りに……という意見も散見される。まだ、彼女の戦いは終わっていないのだ。

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