匿名キャラお見合い企画 自作短編解説(1)お見合いサバイバル編

【No.009】CPしないと出られないお見合いサバイバル

https://kakuyomu.jp/works/16818093085133939965/episodes/16818093085419528927


 いつもの「主催者自ら序盤の内にぶっ飛んだ作品を送り込む」やつです。誰が書いたものであれ「主催者がこれを許容した」という事実があれば皆さん自由に遊べるようになる……という建前で自分が好き勝手遊んでいるだけかもしれませんが。

 デスゲーム×全員出演は絶対にやりたいなと思い、徐々に増えてゆくキャラを見ながらパズルのようにCPを考えていましたが、話を考えている途中で宇宙人が増えたりして、嬉しい悲鳴を上げながら何とか形にしました。常人組(なんだその言い方)はCPの組み合わせを再検討するだけですが、話のフックになるべき人外組が増えると、そのたび話の根本から考え直さないといけなかったり。

 例えば、最初は宇宙人がユーエリさんだけだったので、ブレードとユーエリさんの異邦人コンビで謎に挑む想定もありました。その後、天萬木さんや宇美さんの追加を経て、敵と味方で振り分けるのもアレだなと思い、宇宙人2人は揃って敵側に回ってもらうことに。結果的に、「謎に挑む」話で探偵の雷香さんをメインCPに据えられたのは良かったと思います。直前の008『探偵・銀音雷香の解決できない一事件』とまさかのCP被りになったのは嬉しい驚きでしたが。

 字数が許せば、名前だけ出たCPの皆さんにも一言ずつ台詞を付けたり、宇宙人コンビが何だかんだで女性同士のCPで落ち着いたりするシーンも入れたかったのですが、字数的に到底無理でした。何度「サブキャラ起用による字数緩和の上限を撤廃してやろうか」と思ったことか……というのは冗談ですが、ともあれ、ここで皆様気になるであろう各CPの選定理由を書いておきます。


・前提条件

 同じ方の作成キャラ同士はCPにしないこと。これは作成者を知っている主催者だからこそ出来ることですが、本人が見て「自分だけ他の人のキャラと組ませてもらえなかった……」となったらきっと寂しいので。

 また、なるべく自然で「ありそう」と思える組み合わせにすること。特に名前だけのCPは字数の関係で本当に名前しか出せないので、何となくでもしっくりくるように、極力オーソドックスな組み合わせを心がけました。


・九条 春樹×流山 みな

 子供組。匿名トークでも言われていたように、みなちゃんと合法的にCPできそうな年齢の男子が春樹君しか居なかったことから必然的に決まった組み合わせですが、組ませてみると自然に会話が出てきたので良かったと思います。


・佐伯 剛×小清水 真理子

 高年齢組。職業的には対照的な二人ですが、真理子さんの心を剛氏が癒してくれるならいい感じのCPになるかなと。多分真理子さんは動物も好きそうですし……。交際成立後は、最近太ってきたという剛氏に真理子さんがダメ出しして、一緒にジムに通うとか面白そうじゃないですか。


・京極 奏介×三嶋 アリス

 子供組2。お互い上品な育ちで本好きなのも共通しており、相性も良さそうだと思い選定。004『天国からのナイスアシスト』でも奏介君の作成者さん自ら書かれていて良かったです。


・ユキトラ カドザキ×弱竹 輝夜

 当初、この二人は未来人と過去からの転生者で「常人ではない」判定になるか、そうでなくとも「来歴的に常人ではなさそうなのに常人判定されたのはなぜか(→肉体はこの世界のホモ・サピエンスに違いないから)」といった謎解きのフックになる想定があったのですが、文字数が全然足りなかったので泣く泣く普通のCPとして流すことになりました。

 宇宙人組などと並んで字数制限のアオリを受けたキャラといえますが、035『「月が綺麗」と君言ふならば』でもこのCPを出して頂けたのは僥倖でした。


・市村 洸太×鳥井 深月

 このあたりは最後の方に決めたCPで、ある程度消去法でもあるのですが、社会人男性組の誰かを女子高生(深月ちゃんか彩夏ちゃんのいずれか)と組ませなければならないとなった時、最も適任なのは市村君であり、また女子高生の方ではアルバイトで歳上との接点がある深月ちゃんだなと。恋バナ好きの彼女からグイグイ迫って、彼の過去を良い意味で一笑に付したりして、女性不信を解消してくれたらいいなと思いました。

 016『ドーナツと共にゼロから始まる』で、まさかのお見合いサバイバルから直接繋がる形で深月ちゃんの作成者さん自ら書いて下さったのは嬉しいサプライズでした。


・東海林 悠也×車田 薊

 上と同じく若干消去法にもなってくるのですが、良識人で恋愛優等生の悠也君はまず高校生と付き合ったりはしないだろうと。さりとて歳上と付き合うイメージもないので、妹と同年代の薊さんと大学内で出会って……という流れが自然かと思いました。異性にひねくれた視線を向けてしまう薊さんの心を悠也君の真っ直ぐな言葉が溶かしてくれるかな、と思っていたら、037『少女漫画のヒロインなんて柄じゃない』でドンピシャの話が来て嬉しかったです。


・辻浦 優真×東海林 愛梨

 優真君のキャラ設定はある種、少女漫画に出てくるちょっとワルなイケメンを彷彿とさせる部分があるので、愛梨さんの「少女漫画好き」の好みがそういう方向性であれば彼に惹かれるのはアリかなと。真面目なお兄さんを見てきた反動で、創作の中では真反対のヒーローに憧れていたりしたら面白いかな……と思いました。それこそ、002『交際ゼロ日目のため息』や、後の069『はじめての』における彩夏ちゃんのお姉さんのような流れで、悠也君が妹を巡って優真君と衝突するような展開も話のフックにできるかもしれませんね。


・加賀 可惜×如月 華子

 誰と組ませても面白そうなセバスチャンですが、この時点で出ていた中で組ませるなら、地雷系ファッションで「違う自分」を演じている華子さんがいいかなと。どんな話に出来るかは漠然としたイメージしかありませんでしたが、015『好きなもん着る同盟』でこのCPを実に素敵な形で書いて頂けたので大変良かったです。


・一ノ瀬 隆俊×川崎 奈都美

 歳は離れていますが、お互い大事な人を喪った過去がある同士、互いの苦しみを知って共感しあえるかなと。外の世界で接点を持つのが難しそうですが、お互い恋愛対象とは思えなかった二人がいつしか……みたいな話にできたかと思います。


・花澤 風太×佐藤 彩夏

 公園で芸を披露する花澤君と、お散歩好きの彩夏ちゃんで、外の世界でも自然に出会う可能性がありそうだなと。また、彩夏ちゃんの特技に「人の顔を覚えること」とあるので、即ち別人のような格好をしていても見抜けるということで、話のフックになるかと思いました。

 後にNo.025『Flowering Missing Link』で花澤君の作成者さん自ら書いて頂けて良かったです。


・ジョナサン・マレー・陸×藤澤 佳織

 働く大人コンビ。外の世界で出会うとしたら、オフィスラブにせよ取引先にせよ、いい大人の付き合いができるかと思いました。また、陸さんの来歴から、祖父の弾くギターを聴いて育っていたかもしれないので、その点でも藤澤さんと絡められるかなと。


・都築 椿樹×天文 宇美

 実は宇美さんは記憶改竄能力を活かして黒幕側に配置する想定もあり(彼女の記憶改竄をさらに「誰か」が操っているとか)、椿樹君が「守護霊が見えない」ことをもって彼女が人間でないと暴く……みたいな流れも考えていたのですが、字数とキャラ配置の関係でやむなくこれだけの出番になりました。

 僅かな台詞だけで分かりづらいですが、「人外はCP洗脳の対象外であることをいち早く察知した宇宙人組が、ユーエリさんのハッキングで宇美さんの記憶改竄能力を操って椿樹君とCPになるよう誘導し、結果CP成立してもアンドロイドの宇美さんは脱出できないことが観測できたので天萬木さんの攻撃で始末した」という展開です。椿樹君はともかく、宇美さんはただ可哀想なだけで終わらせてしまって申し訳なかったので、後に088『夜空に浮かぶ美しい星から』で改めて見せ場を作れて良かったです(あっちでも最後は機能停止しちゃいましたが……)。


・夜鳥 繰流衛門×藤ヶ谷 文香

 文香さんは魔法少女として活躍してもらうことが早くから決まっていたので、その彼女に「ついていける」のは誰かと考えると、ミステリアスな夜鳥氏が適任かなと。まさか魔法少女の敵になる世界線があるとは思いませんでしたが……。

 いやね、設定にある「子供の玩具」って多分ケン玉とか竹細工とかの話なのは分かってたんですよ、分かってるけどトボけたふりしてニチアサ系変身少女のマーチャンダイジングの話をさせました。


・ユーエリ・ケプラー&天萬木 那樹

 先述のように文字数の都合で敵のまま終わってしまった二人。天萬木さんは「指を自在に伸縮できる」設定を最大限に使わせて頂き(イメージは『仮面ライダー555』劇場版でレオが草加を始末するシーン)、ユーエリさんは日本文化好きの設定から何の説明もなく忍者コスプレで戦闘させるというハチャメチャな展開になりました。

 彼女達だけフルネームが作中で出ていないのは本作最大の心残り。文香さんが魔法で割って入った後、走るブレード達の背後でどういうわけかこの二人がCPに収まったらしきアナウンスが響く……という一行くらいは入れたかったのですが、その隙間すら作れませんでした。各作成者さんには申し訳なかったのですが、お二人とも「作成者の声」で許して下さったのでホッとしました。

【ユーエリ・ケプラー様、天萬木あまゆるぎ那樹なじゅ様。CPカップリング成立おめでとうございます♪ くすっ、お察し通り、あなた方はここから出られないみたいですけどね★】

 ↑こんな風にゲームマスターこころちゃんが煽ってくる想定でした。


・ブレード・グランドゥール×銀音 雷香

 雷香さんに関しては、「探偵らしく活躍させる」ことは最初から決まっていましたが、元はブレードと別のキャラ(元は唯一の宇宙人だったユーエリさん)のメインCPに助言してくれるサブキャラクターくらいの立ち位置を想定していました。その後、キャラ追加に伴ってプロットが二転三転、四転五転し、最終的に主役の片割れにまで上り詰めましたが、いざ組ませてみるとツッコミ役も出来るし可愛く頬を染めたりもできる彼女はブレードとの相性も大変良く、最初から決めていたかのように自然なCPになってくれました。

 勿論、これを書いていた時点では008『探偵・銀音雷香の解決できない一事件』はまだ送られてきていないのですが、ラストで雷香の事務所に行くことを約束する流れは008の世界線とも重なるものがあり、嬉しい偶然でした。

 ただ、せっかく名威さんと一緒に行動しているのに、雷香さんの「にゃ」とか言っちゃう属性を出す余地がなかったのは心残り(字数というより話の流れ的にそれを自然に出せる場面がなかったので……)。その点も008の作者さんが完璧にやって下さっていましたね。


・間田 名威

 人外ゆえの特殊なポジションは最初から決まっており、雷香さんがメインCPに決まってからはその腕の中が定位置として自然に定まりました。もし女性キャラが多ければ誰かとCPになる展開もあったかもしれませんが、なっても脱出できないし、最後にブレードと一緒に黒幕を追い詰める展開が美味しい出番になったので結果オーライかと思います。


・神崎 こころ

 愛を知りたいお騒がせアンドロイド。彼女がアナウンス役を務めることは初っ端に決まりましたが、単独の黒幕なのか、実は誰かに利用されているのか、彼女自身もお見合いに参加しているのか、外から見守っているのか……など色々なパターンの設定が浮かんでは消えていきました。最終的にゲームマスター役で何となくいい感じに収まったので良かったかと思います。

 なお特撮好きの方なら勘付いたかもしれませんが、彼女のアナウンスの音声は完全に『仮面ライダーギーツ』のツムリちゃんのイメージです。


 以上、つらつらと語りましたが、ここまでに触れてきたように、中には偶然にせよこれと同じCPを書いて下さる方も複数おられ、そのたびに同じ解釈の方がいたことに安心したり、私の想定よりずっと素敵な形に仕上げて下さったことに感謝したりと、嬉しい気持ちを噛み締めていました。

 スケジュールに余裕があれば、新たに追加されたキャラ達を巻き込んでこころちゃんが次のゲームを始めたり、その中で記録を振り返るような形で上記のCPの成立シーンを描写したり……といった作品も書きたかったのですが、他の作品を書くのに夢中でそこまでは手が回りませんでした、相済みません。

 いずれにしても、多くの方にご注目頂けたことは大変有難く、頑張った甲斐がありました。



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