2-2

「子供の旅人など、珍しいですな、ホルド姫」


「そうですね。なんでも、人探しをしているのだとか」


 私は、ロヴァグと共に、窓の外の二人の子供を見下ろしていた。


「ほう、苦労しているのですな。して、探し人は見つかりそうですかな」


「探しているのは、亜麻色の長い髪に、白い肌、菫色の瞳を持つ、容姿の整った若い女性だそうです」


「まるで姫のことのようですな」


「私の容姿は、整ってなどいないわ、爺」


 そう言い切ってから、子供っぽい物言いをしてしまった、と気恥ずかしくなる。けれどそんなことを気にする様子もなく、ロヴァグは部屋の扉を開いて、私を見た。


「そう言いなさるな、姫。さ、小さなお客人に挨拶をしに行きましょう」


 その提案を拒絶しかけて、私はふと口をつぐんだ。

 ロヴァグは五年前、流行病で孫を亡くしている。旅人を名乗る子供たちと、歳は近かったはずだ。


「……………良いですが、すぐに引き上げますよ。私は子供が苦手です」


「そうでしたな。では、お気が変わらぬうちに。さ、お早く」





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Moon dogs イワサ コウ @iwasa_kou

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