6.なんか思ってたのと違う!
ゴリラと戦っている犬人間と猫人間。
ゲームでなら見たことがあるけど、実際に見ると……可愛くはないな。
だって人間サイズで二足歩行してる犬と猫だぞ? しかも服を着て武器を手にして暴れるって。
でも助かった、ゴリラを倒してくれるのかな。
少しだけ戦いを見ていると、何とか体が動くようになった。
まだ遠くに逃げるほど回復してないんだよ。
改めて見ると、犬人間も猫人間も何匹(?)かいるな。
犬三匹、猫四匹で、猫は少し小柄でゴリラの周りを走り回りながら爪でひっかいている。
そっちに気を取られたところを犬人間が剣と盾を使って、深い傷を与えている。
戦い慣れてるのかな? すごい連携が取れてる。
ゴリラの体が血まみれになり、そろそろ倒せるか? と思った所でゴリラは雄叫びをあげ、走って逃げていった。
あ! ゴリラが逃げる! でも犬と猫なら足も速いだろうし……あ、あっさり追いついて……倒れた。
ゴリラの体から剣を引き抜き、鞘に納める。
犬と猫が少し警戒しながら俺の側に来る。
……あれ? 俺を助けてくれたんだよね? なんかすっごく
猫人間が俺を指さして、自分の頭を指さす。
え? なに? 何か言おうとしてるの?
喋れないのかな、ああ、犬も猫もしゃべれないよな。
と思ったら、犬猫どうして会話を始めた。俺の知らない言葉で。
「え? しゃべれるの?」
でもなんて言ってるのかさっぱりだから、俺と猫の頭を指さした意味が……あ、ヘルメットを取れって事かも?
そうだな、一応は助けてもらったんだし、顔を見せないのは失礼かも。
オフロードバイクのヘルメットを脱いで、犬猫をみる。
ん? ヘルメットという存在を知っているのかな、じゃないと脱げなんて言わないだろうし……ま、いっか。
猫が俺の顔をマジマジと、近くで観察を始める。
匂いも嗅いでるな、て、敵じゃありませんよ~?
そしてニャでもワンでもなく、犬猫同士の言葉で何かを話合い、俺に手を差し出した。
俺は思わず手を取ったが、ペッと払われて、もう一度手を差し出して来た。
な、なんだよ、怒ってんのか? なんで怒ってるんだよ……って、まさか金を払えって事か?
確かに助けてもらった礼はしたいけど、金なんて持ってないし、何を渡せばいいんだろう。
俺が悩んでいると、犬人間が俺の胸のあたりをトントンと叩く。
叩かれた場所には携帯食料が入っている。
ああ、食い物で良いのか。
携帯食料と言ってもカロリー補給スティックだけど。
ナイロンを破って差し出すと、七匹はそれぞれが手に取って食べ始める。
結構な早さでがっついてるけど、腹が減ってたのかな。
食い終わったらまた手を出して来た。
え? もう無いよ?
しかし七匹は手を差し出したまま動かない。
ええっと? 要は食い物があればいいんだよな?
スマホを取り出して、アメイゾンで検索をする。
犬と猫が欲しがる食い物か……アレかな?
二種類を注文し、俺はリュックから取り出すふりをして犬と猫の食べ物を取り出した。
「こんなので良いのかな」
『ハッピードッグフード』『ハッピーキャットフード』の二つの袋を破り、それぞれに差し出した。
するとどうだろう、目を大きく見開き、がっつく様に手を突っ込んで食べ始めた。
おお、やっぱりドッグフードとキャットフードで正解だったのか。
満足したのか、七匹は地面に座って会話を始めた。
まぁ何を言ってるのか分からないけど。
猫の一匹が俺の顔を見て首をひねっている。
な、なに? まさか食い足りなくて俺を食おうとか……?
猫は自分の目を指さして、今度は大きく腕を広げ、そして顔を押さえて地面をゴロゴロ転がっている。
……何やってるんだろ。
今度はテントがある方向を指さして、寝るマネをしている。
えっと、何やってんだコイツ。
テントは俺のかって言ってんのか? じゃあ目を指さしたりゴロゴロ転がるのには何の意味が……!!
「え? まさか昨晩の奴はお前なのか?」
昨晩テントを襲われた時、超強力ライトを目にお見舞いしてやった。
ああ、目を指さしたのは、光が目に当たり、地面を転がったと。
おおー、意思の疎通が取れた。
俺は昨晩のライトを取り出して、地面を照らした。
すると猫は興味を持ったのか、ライトを俺から奪って光を覗き込む。
「ミギャー! ウミャ、ブギャー!」
あ、この声は昨日の奴だ! そうか、コイツだったのか~。
全く学習をしていないな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます