5.現代の防具は異世界でも通用するのか?
カップラーメンだけど。
「あー、なんだろうこの感じ、俺が大学に入って一人暮らしをしたら、毎日カップラーメンばっかりな予感がするな」
それか外食ばっかりになるか。
牛丼! コンビニ弁当! ファミレス!
いやファミレスはいかないな、知り合いと一緒にならいけるけど。
「よし! 腹も膨れたし、そろそろ周囲の探索をす……る前に、
ツブヤイッターを読み返して、
えーっと、
まるで防弾チョッキみたいなベストと、
「……は? これって日本だよな? 日本語だからそうだと思うけど、こんなの売ってんの??」
他のリンクを見てみると、
「あ、一応双眼鏡とか救急セットとか、普通に使えそうな物もあるな。それにしても
とはいえ昨晩みたいに刃物? を持った相手に襲われるかもしれないし、鋭い牙や爪を持った相手に襲われるかもしれない。
そういう時には非常に助かる装備だ。
「あ、しかも全部がそれほど高価じゃない。これなら全部買っても良さそうだ」
俺はポチリまくった。それはもう指が痛くなるほどに沢山。
そして出来上がった姿が……怪しかった。
オフロードバイクのアゴが出っ張ったヘルメット、黒い防刃ベスト、チャラチャラうるさい
両手には斧と槍、腰にはマグロ包丁。
「統一感が皆無! これで日本を歩いたら百パーセント通報されるな!」
それにしてもマグロ包丁って、これ日本刀じゃないのか?
ゴエモンが使ってた鉄を斬る日本刀みたいだな。
よし、この姿をあいつ等にも見せてやろう。
ポンポン
『ぶっはwww お前は時代錯誤の原住民か!』
『
ツブヤイッターには怪しい恰好をした俺が、がに股で両手を上げて斧と槍を交差させた自撮り写真を上げた。
ウケてるウケてる、よし、プロフィールのアイコンをこれにしよう。
さて装備も整った(?)事だし、周辺の調査をするとするか!
テントを張った場所を中心に、俺は一キロメートルほどを歩いて回る。
双眼鏡で遠くを見ても、木しか見えない。
せめて川とかないかな、そうしたら上るか下るかしたら街があるかもしれないのに。
「いや待てよ、ここの文明はどんな感じなんだ? 近代的な世界だったら川があっても無くても意味ないのか? せめて中世とか江戸時代とか、その付近なら川を中心に栄えてるはずなんだけど……」
逆に原始時代とかだったらどうしよう……
しばらく歩いていると何もなく、流石に疲れて来たから適当な倒木に腰を下ろした。
「何にもないな、双眼鏡で遠くを見ようにも木が邪魔で見えないし、高い場所に行こうにも山らしき物も見当たらない」
ヘルメットを脱いで水筒の水を飲む。
五百ミリリットルの水筒と携帯食料は持ってきたけど、この分だと一度戻って更に遠くを調査する装備にしないと、人里は見つけられそうにない。
いや頼むからさ、出来れば意思の疎通ができる人類が居てくれ。
ヘルメットをかぶり、もう少しだけ周囲を探そうと立ち上がる。
だが俺は、何故か木に叩きつけられていた。
……え、なんで俺、木に寄りかかってんの? えと、あ、あれ? 足に力が入らない、立って……いられない……頭がぐわんぐわんする……耳がキーンとする。
ぼやけて焦点の合わない俺の目に、大きなゴリラが映し出される。
ゴリラ……でっか……何メートルあるんだよ。
両手を地面に付けているのに、腕だけで三メートルはありそうだ。
二本足で立ったら何メートルあるんだろう。
意識が
きっとコレはピンチだ、早く逃げないと……足に力が入らない、まだ目の焦点も合わない、必死に立とうとするけど……転んでしまった。
くそう、異世界に連れて来られて、二日目で終わりかよ。
あのへんな奴の実験に付き合わされて、なんでこんな所でこんな目に……!
ゴリラが腕を振り上げた。
マジかよ……誰でもいいから助けてくれ。
ゴリラの腕が、俺の頭上から振り下ろされた。
俺は目を閉じて、最後の時を迎えた。
……、…………、…………?
あれ? まだ意識がある。
まさかもうあの世か?
目を開けると、目の前ではゴリラと犬が戦っていた。
犬、と言っても二本足で立っているし、よく見たら猫もいる。
何匹もの犬と猫が、ゴリラと戦っている。
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