第6話 理由と開戦

大広間には3人の男性

ブツブツ呟いている

「…………召喚サモンズ


中央から出てくる少女


「は…早く洗脳しなさい!」

女王が叫ぶ


3人の男達は洗脳を始める


洗脳中1人の人が横から水晶を持ってきた

魔力を測る推奨だろう

水晶に女性を映すと白い光が出てきた

時間が経つにつれだんだんと光は強くなる


「ま、眩しい…」

女王が口に出した途端


ピキッ


水晶にヒビが入る

ピキピキッ

一ヶ所だけではなく無数にヒビが入り始める

 

「…む、無理です!洗脳するのは!!」

洗脳中の男1人が叫ぶ


「無理じゃない!人数を増やしてでもなんとか洗脳させなさい!」

女王ば相当焦ってるようだ

男達は人数を増やし計5人で洗脳を進めた


大きな地響きと共に洗脳が完了した

その時


ビキビキビキッ

パリーン


水晶が跡形もなく消え去った

「こ、これは…」

そうだ、水晶が見れる魔力の量を越してしまったのだ

 

水晶が割れる事はたまにあるが、割れても3分割程度


ここまで割れる事はここに居る全員見たことがなかったのである


「あ、貴女名前は…?」

女王が少女に聞く


「私は、九条綾香18歳よ」

と少女

「貴女のやるべき事は分かるわね?」

女王が少女に問う

「私の目的は、ヘズシルから聖女達の涙セイントティアーズをパラカヤへ持ってくる事」


聖女達の涙セイントティアーズさえあれば、一刻も早くここへ持ってきなさい!」


女王の声が大広間に響いた…




今日もまたイクセルは図書館へ来ていた

扉を開けるといつものように沢山の人が本を読みに来ていた

イクセルは毎日のように図書館へ通っていた

だが最近は本読みに来ているのではなく司書の女の子が目当てで、本はついで…という感じなのだが


「おはようございます、イクセルさん。今日も闇属性の本をお読みになるのですか?」

「おおお、おはよう、ソフィアさん…そ、そうだね今日も闇属性の本を読みに来たよ…」


地球にいた時イクセルは、女性とあまり会話をしなかった

というより出来なかった

その為女性と話すと緊張してしまうのだ

つまりコミュ障って奴ですね


それでも毎日会っているんだから少しは慣れろよ…とそこにいた誰もが思っていた


「今日は魂を抽出したモンスターについて、だな」


闇属性は死体から魂を抽出する事が出来る

同じモンスターでも「下位マイナー」「上位メジャー」「超位エピック」の3つに分けられる

90%以上が下位マイナー、残りの10%が上位メジャー超位エピックに関しては小数点以下の確率である

戦闘力も下位マイナー上位メジャー超位エピックの順で高くなる


イクセルが本を読んで居るとシルフが声をかけてきた

「ね〜ね〜たまには遊びに行こ〜よ〜ずっと屋内にいるのつまんな〜い」

「1人で行ったら良いじゃないか?」

「え〜1人だとつまんないんだも〜ん、主人マスターと一緒がい〜い〜」

「はいはい分かったよもう少し読んでからね」

「やった〜!ところで思ったんだけど、どうしてあのソフィア?とかいう司書さんと話す時は上手く喋れなくなるの〜?」

「それは、主人マスターがあの方に、恋愛感情を抱いてるからだと、思うよシルフちゃん……」

と横からウンディーネ

「つまり主人マスターはあの方をという事だな!」

とサラマンダーに言われるとイクセルは顔を真っ赤にした

「まぁまぁ揶揄うのはここまでにしましょうよ、主人マスターも顔から火が出ていますし」

ノーミードが仲裁役に入る


ふと、イクセルに疑問が生まれた


それは何故パラカヤとヘズシルが戦争を始めたのか…という事だ

「ところでさ、なんでヘズシルとパラカヤは戦争を始めたんだ?」

イクセルが四大精霊の4人に聞く


「それなら私がお答えしますわ!」

ソフィアだ

「数年前、我が国ヘズシルの炭鉱夫がとある場所である鉱石を掘りました。ただの鉱石なら良かったのですが、今回掘った鉱石は魔石と呼ばれる種類の鉱石でした。」

「魔石って…?」

イクセルは聞き返す

「魔石とは魔法力つまりマナを持った鉱石の事です。魔石が有ればどんな人でも魔法が使える様になります。また魔石には魔法が使える様になるだけではなく、その種類によって異なる隠された能力が有るのです。能力次第では国一つ滅ぼすことも容易なんです」

「でも〜国一つ滅ぼす事が出来る魔石って〜限られているんでしょ〜?」

とシルフ

「そうですシルフ様、ですが今回掘り当てられたのはその力がある魔石でした。名を聖女達の涙セイントティアーズ、これは魔石階級3位のとてつもない魔石だったのです。聖女達の涙セイントティアーズさえあれば国一つどころか世界の三分の一水で埋め尽くす事だって可能です」

「魔石階級3位…という事は外見は綺麗な宝石…」

とウンディーネが呟く

って事は色は青かな、しかも深海の様な青」

サラマンダーだ

 魔石階級20位から上位は宝石の様な外見をしていると言われている

上位に行けば行くほど色が濃くなるとも言われていた


「掘り当てたのがヘズシルの炭鉱夫なのになんでパラカヤが出てくるんだ?って主人マスター思いましたね?」

ノーミードに心を見透かされたと思うイクセル

「その掘り当てた場所が関係しています。掘り当てた場所がなんと、ヘズシルと隣国パラカヤの国境のちょうど境目だったからです。それを知ったパラカヤは『うちの魔石だ!』と言い張りました。ですが我が国は『他の国に使われては我が国だけではなく世界全体が崩壊する』と考えた為パラカヤには渡しませんでした。しばらくするとパラカヤが実力行使に出ました。これが現在ヘズシルとパラカヤが戦争をしている理由です」


「なんか〜結局人間って〜愚かだよね〜」

シルフがつまらなそうに言う

「何処の世界でも人間は愚かなんだよ」

イクセルが言う

「何処の世界でも……???イクセルさん他の世界をお知りの様な言いようですけど…?」

ソフィアが疑問そうに聞く

「あっ!?そそそそれは、ほ、本で読んだんだよ。後は、エクから聞いたりもしたし…」

イクセルは動揺しながら返した

主人マスター凄く動揺している…」

四大精霊の4人には動揺がバレていたが

「そうですか、エクステン様からお聞きになったのなら納得です」

ソフィアは納得したようだ

「あっぶねぇ〜俺が異世界召喚者というのはバレてないんだな」とイクセルは内心思ったが

主人マスターあの動揺で多分バレたと思います」

ノーミードが冷静に告げる

「なんでそれを…!?」

驚くイクセル

「私達四大精霊は心の中も読めるんだよ〜」

シルフから教えられる


6人で会話してる居ると外が騒がしくなる

警報が鳴っているようだ


「この警報は!皆さん直ぐに避難して下さい!!パラカヤが攻めてきました!!!!」

ソフィアが大声で避難勧告をし始めた


「一体何がどうなっているんだ!?パラカヤが攻めてきた?ヘズシルとパラカヤは冷戦状態な筈なのに!」

焦るイクセル


ガチャッッッッ!!!


勢いよく図書館の扉が開く

そこに現れたのはエクステン=ウィレーズだった

「痺れを切らしたパラカヤが大群で攻めてきたんだよ、多分一気に聖女達の涙セイントティアーズを奪うつもりらしい。ソフィアさんはここまま避難勧告を続けてください。イクセルは僕と城に来て!」

「分かりました!エクステン様イクセルさん四大精霊様お気をつけて下さい!」

とソフィア

「分かった直ぐに行く!」

イクセルは四大精霊を連れエクステンと共に城へ向かった


城に着くとイクセル達は直ぐに国王の間へ通された


扉を開けると正面に国王、国王の目の前にはルマ、ガレティア、クロノロスが既にいた

「お待たせ致しました国王、イクセルをお連れしました」


「其方がイクセル=ザーロイトか、単刀直入に言う『我が国ヘズシルに力を貸しては貰えないだろうか?」

「何故俺なんですか?」

「其方はエクステン君から見てとても優秀だと聞いている、そして四大精霊様達とも契約を結んだ。其方の力はとてつもないものなのだとここにきた瞬間感じ取ることが出来た。パラカヤは異世界召喚者を戦場に出しており、抑える事が出来なくなってきている。君の力が必要なんだ、どうか手を貸して頂きたい。ただでとは言わない、其方が…」

 

国王が話している途中に割り込むイクセル

「見返りはいらない、皆んな手伝ってくれるか?」

四大精霊に聞く

「もちろんOKだよ〜」

主人マスターの望む事なら…」

「久々に暴れて良いんだな!」

主人マスターの仰せの通りに」

シルフ、ウンディーネ、サラマンダー、ノーミードの順だ


「よしッ!出来るかわからないけどやってみっか!!」

「ありがとうイクセル殿、四大精霊様」

国王が礼を言う


「国王!イクセルの配置は我々で決めてよろしいですよね!」

エクステンだ

「もちろん構わない、宜しく頼むよエクステン君、いや第一部隊隊長」

「善処します!さぁ皆んな隣の部屋へ!」


イクセル達はエクステンと共に別室へ向かった

そこには女性が1人佇んでいた


「遅いぞエク何をしていたん、だ…」

女性はイクセルを見ると言葉を詰まらせた

「も、もしかして、舜…?」

女性はゆっくりと落ち着いた声で話す

「なんでその名を…?」

イクセルは不思議に思う

「舜!舜なのね!私よ私、雨宮彩。貴方の母親よ!」

「か、母さん…?ほ、本物なの??」

「本物よ!、私が死んでから何年たったかしら」

「もう13年だよ、まさかこんなところで会えるとはね」


イクセルディスナイルは死別した親子だったのだ

 

「あれ?ディスナイル?彩姉の記憶あるの?」

一方1人戸惑うエクステン

「一体いつ記憶が無いって言ったのよ、エクが勘違いしてただけなんじゃ無いの?」

「騙したなぁ〜!?」

エクステンとディスナイルが会話してる途中


「感動の再会中申し訳御座いませんが、このような事をしている暇はないのでしょうか?」

ノーミードが話をもとに戻す


「そうだね、それじゃ立ち位置について説明するよ。僕とクロノス、ガレティアとイクセルは城下町を出て敵襲の撃退、ディスナイルとルマは怪我人が出たら救護して欲しい。四大精霊の配置はイクセルに任せたよ」

「今回私は後衛なのか…息子の成長した姿を見たかったんだがなぁ」

ディスナイルが寂しそうに言う

「残念だけどまた次の機会だね母さん」

とイクセル

「それじゃシルフとウンディーネはルマ達と一緒に救護に回ってほしい、サラマンダーとノーミードは国民に被害が行かないよう結界を城壁周りに張っていて欲しい」

イクセルが四大精霊の4人を振り分けた

「了解だよ〜」

主人マスターは死んでも治す…」

「ウンディーネが出るまでもなく主人マスターは大丈夫だよ!」

「分かりました主人マスター

各々返事をする四大精霊

「それじゃみんな準備は良い?この戦いは自国を守るだけではなくなるべく、死人を出さないこと。それが目標とする。総員配置へ!」

みんなの声が合わさる

「「了解!!」」


イクセルは即座に配置についた

一秒が一時間のように長く感じる

主人マスターリラックスですよ」

ノーミードがイクセルを落ち着かせる

「こんなに早くから気が張ってたら最後まで持たないよ?」

サラマンダーのもっともな意見


配置について2分後、戦場に一つの光が走る

「来る!」


大地の守りッッッッアースプロテクション

ノーミードが守りを固める

雷の斬撃ッ!ライトニング・スラッシュ

敵軍の先制攻撃

ついに開戦してしまったのである

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