第31話 スピンオフ タルタルエビその後

タルタルエビ目線


 先輩達は県ベスト8を決めて部活を引退された。佐藤先輩から部長は2年の篠崎先輩に譲られ、一時代を築いたあだ名と下ネタ練習メニューは刷新されるはずだった。なのに何故


「タルタルエビ、このボール、調整しといてくれ、」


「タルタルエビ、ベジタブルにテーピングの補充頼んどいて。」



何故、無くならないのだ。あだ名呼び。


挙げ句の果てに


「タルタルエビ、次は必殺谷間見せレシーブだから、タイム測っといて。よし、谷間が綺麗に見せられるまで特訓だー!」


練習メニュー名まで変わらないじゃないか!


仕方ないので、次期部長と言われている一年の部員大野くん(あだ名は巨乳、こんな解説いります?)を部活中ではなく、授業合間の休み時間に捕まえて問いただした。


「なんで、あだ名呼びとか練習メニュー名とか佐藤先輩が引退したのに変わらないのよ。あれ、セクハラ入ると思うのよ。そのうち大問題になるわよ。顧問の意識も低いわよね。」


と腕を組んで威圧してみた。大野くんは熊のような巨体を縮こませて


「練習メニューはもとの名前を言っても通じないと時間ロスだから。まあ、徐々に。あだ名は大崎先輩が残せって」


と答えてきた。そこで、ダーリンの名前が出てきてびっくりした。


「大崎先輩は、あだ名呼びに染まってなかったのに。なんで?」


「さあ〜。俺にも分からないよ。お前の方が仲良いんだろ、聞いてみれば」


「やあだー部員公認?照れちゃう」


バシバシと大野くんの背中を叩きながら、これ以上問い詰めても仕方ないなと思い、後で、ダーリンに理由を聞かなくてはと下校デートを企てることにした。


 ダーリンが佐藤先輩の彼女への想いを(佐藤先輩へではない。冷静に考えてダーリンに限ってあり得ない。よし。)諦めたかどうかは分からない。でも、私のSNSに返信はくれるし時々一緒に下校してるし、何より真帆って呼ぶ声が優しくって大好きだ。いつかきちんと気持ちを聞いてみたいけど、私の方からいつも好意は伝えてる。それに笑顔でうなづくダーリンを見ているだけで幸せだ。

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