第11話 亘一 苗字ランキング1位

 上田さん情報が本当ならば、俺がもらったガトーショコラが本命あての物だったのは間違いない。記憶に違わず写真の中でもピンクのハートのクッキーがガトーショコラの上で輝いていた。矢田と相井に確かめると奴らのクッキーはペンギンだった。


 だがここでぬか喜びできない問題が浮上した。全国苗字ランキング1位の佐藤、問題だ。さすが1位。俺のクラスにも佐藤は2人いた。そして2人とも貰っていた。姫からもらった袋には佐藤さんしか書いてなくて区別がない。


 矢田にあっちの佐藤とこっちの佐藤と何で違いをつけたのか確かめてみたが、よく覚えてないとのたまった。のたうちまわる俺に、矢田は


「本人に聞いちゃえば良いじゃない。」


といとも簡単に言うのだ。なんて聞く?


 

 そうこうしているうちに姫に会えない春休みが終わった。理系クラスは教科選択の関係であまりクラス替えがない。だから姫とクラスが離れる心配はあまりしていなかったが、案の定ほとんど入れ替わりがなくほっとして新学期を迎えた。


 俺はもう1人の佐藤と自分とどっちが本命なのか姫の言動から見極めようと考えた。しかしこれが中々難しい。こっちを見てると思っても何せ新学期は名前順の席だ。佐藤2人、席が前後だし何かと行動が被る。掃除班は姫と俺が一緒だが、係活動はあっちの佐藤と姫が一緒だったりする。大崎のジャンピング突っ込みを受ける日々だった。


 手をこまねいているうちに4月が過ぎ、ゴールデンウィークが終わり席替えとなった。姫の後ろの後ろ辺りいい感じの所となって喜んだ。のも束の間、姫の隣が姫の友達の彼氏の佐和山。姫に臆面おくめんもなく触るあいつで、後ろから見えるだけにイライラする日々が始まってしまったのだった。

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