第4話 姫こと蔵瀬亜理子(くらせありす)五本指靴下の利便性を知る
動画を見て好きになったなんて言ってもきっと信じてくれないし、なんかの間違いでしょって真顔で返される気がする。
彼、佐藤亘一さんと同じ中学だったという香織ちゃんが新学期早々中学時代の彼の悪口と写真をばら
でも、背が高いから文化祭で高い所の飾り付けをさっとしてしまう所は格好良かったし、五本指靴下の利便性について物理の先生と論議してたりするとか
私は小学生の頃、
結局習い事はピアノや習字になり、スギ、ヒノキに加えイネ科植物、ハウスダストアレルギーのため、マスク常備、メガネ愛用、廃部危機の文芸部に頼まれて籍を置くと言ったちょっと枯れ気味の高校生が私だ。
そんな私が今回の体育祭でコンタクトをはめた。ドッチボールに出場するために気合いを入れたのだ。ドッチボールチームに属してた小学校中学校の同級生2人組が怖くて逃げ続けて9年、立派な逃げ専になってしまって普通の女子高生の球なんて余裕だ。
残りまくっていたら、準決勝で相手が反則覚悟で私の頭にボールをぶつけてきた。反則なため、当たっても退場できない。結局3発もあびてしまい、痛みに耐えられなくなり座りこんで逃げられなくて当たって終わり。勝って喜ぶ相手チームの女子はゴリラに見えたよ。
2日に渡る体育祭を半分しか出れなかった。動くとすぐに空回りする。私はいつもそんなもんだ。
CTやら、レントゲンやらが終わってずっと続く頭痛が、
クラスSNSに体育祭の動画が送られてきていた。2日目はダンスパフォーマンスがクラス対抗であってその様子だった。ダンスは完璧に覚えていたのに、少しカッコ良い吉田くんと手を繋ぐパートがあったのにと文句を呟きながら、なんとなしに眺めていた。ジャンプの時だった。佐藤さんがふわっと飛んでいるのが目に入った。
誰よりも高く軽くふわっと。
彼のジャンプは許されたものが飛べる高さだと思った。佐藤さんはバレー部だ。試合している所を見たら、もっと沢山飛んでいるんだろうか。見てみたい。布団にひっくりかえりながら、その世界に憧れた。
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