初恋〜ルビー過去回想編
目の前の強大な魔力を持つ黒上黒眼の少年を
熱に浮かされたようなバイオレットの瞳で、
ボーッと見つめながら、口を開く。
「あの、助けていただき
ありがとうございます!」
「私はルビーと言います。」
疲れなど微塵も感じてないような声色で、
微笑みながら、アルスは返答する。
「うん。俺はアルス。」
「助けられてよかったよ。」
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ルビーは、ダークエルフ族の嫉妬の大罪者
家系に生まれた女子であった。
ルビーは幼い頃から、持ち前の美貌を褒め称えられ、周囲からとても可愛がられていた。
「ルビーちゃんは美人だね」
「将来は美人さんになるし、
今の内に結婚を申し込もうかな。笑」
13歳になるまでに、
男の嫉妬大罪者には数多くの求婚を、
女の嫉妬大罪者には数多くの嫉妬を、
されていた。
そんな幼少期を過ごしたルビーは、
他人に嫉妬するという事を
理解できなかった。
なぜなら、自分は常に周りから褒め称えらえ、他のダークエルフより優れているから。
自分より劣っているものに、
どう嫉妬すればいいの?
「男は笑顔を魅せれば、簡単に喜び、
高価なものを沢山くれる。
女は私に嫉妬するって事は、
私より劣っているのを認めてるのかしら」
この傲岸不遜な想いは、13歳の嫉妬の儀まで
続き、ついに嫉妬の儀では大失敗が起きた。
嫉妬の儀を乗り越えた、嫉妬大罪者は
右頬に、様々な色の模様が浮かび出る。
模様の種類、色の種類によって、
嫉妬の大罪者としての技量が変わるのだ。
ルビーの右頬に何も浮かばなかった。
つまり、能力なし。
嫉妬大罪者としては終わった事を意味した。
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ルビーは驚愕した。
今までチヤホヤしてくれた男達が、
ゴミでも見るかのような目で
見てくるのである。
「けっ何であんな女に
お金使っちまったかな〜」
「嫉妬の儀で失敗なんて、何百年振りか?
普通は薄くても紋章あるもんなのに。」
そこからルビーにとっての地獄が始まった。
今までルビーに嫉妬していた女達は、
好奇と見て、ルビーに悪辣な嫌がらせを
し始めたのである。
「おい。出来損ない!」
「はあ、ブスが話しかけんじゃ無いわよ!」
最初の頃は、ルビーの強気な性格によって、
言い返すことで、口喧嘩程度であった。
しかし、日を増す毎に、
どんどんエスカレートしていき、
遂にルビーの心は折れた。
ルビーの使う化粧品を燃やす。
今まで貢いでもらった高価な物を奪う。
両親の形見を、川に捨てる。
など
両親は既に他界していたので、親戚の家でお世話になっていたが、そこを追い出され、
森に移り住み、細々と暮らし始めた。
そして、アビスに追放される事件が起きた。
ルビーは、森にある川で水を飲んでいた。
そこに、嫉妬大罪者の女達が現れ、
蔑視しながら、話しかける。
「おい。ルビー。お前に最後の嫌がらせを
これからする。笑」
「よかったな!ルビー!
これが最後だぜ!笑」
ルビーは半目で睨めつけながら、口を開く
「嫌がらせの内容は?」
そして、一際大きな声で女達が、
同時に声を発す。
「アビスに追放!!笑」
そこからの、ルビーの記憶はない。
起きたら、ルビーはアビスに居た。
より正確に言うならば、ゴミ山で寝ていた。
そして、放心した。
あぁ、私こんなにされるほどの事をした?
紋章がないだけで、こんなことされるなんて
落ち込んでいるルビーを遠巻きに眺めていた
アビス住民は歓喜の声をあげた。
うわっあんな美少女見た事ねえ!
早いもん勝ちだ!
我先にと、ルビーにアビス住民は群がる。
その様子に気づいたルビーは、
怯えた表情を浮かべ、腰が弾けているが
足を懸命に叱咤し、少しずつ後ろへ
下がる。
しかし、そんな状況も終わってしまう。
もうルビーの逃げ場はない。
あぁ、助けて。
誰でもいい。
まだ死にたくない。
ぅぅぅ....
その時、あの少年と出会った。
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バイオレットの瞳を蕩けさせ、
褐色の頬を僅かに紅く蒸気させ、
ルビーは熱に浮かされたように呟く。
「アルス。アルス。アルス。アルス。
アルス。アルス。アルス。アルス。
アルス。アルス。アルス。アルス。...」
「好き!大好き!アルス!
ルビーはアルスに飛び付き、アルスの頬に
自分の頬を擦り付けていた。
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ヒロインのルビーちゃんが出てきました。
各キャラの年齢公開
アルス 15
ロウン 17
ルビー 14
魔族は、25歳を成人とする為、
まだ彼らは少年、少女ですね。
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最弱で怠惰な魔王の勘違い英雄譚〜元祖帰りは悪ですか? @keiji1297
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