*第70話 反抗期かしら?

「まぁ!それで波動砲を撃ったの?」


若草姉妹と対戦したと言う報告を聞いたエルサーシアは、

アーミアが特級魔法を使った事に驚いた。


「はい・・・お母様・・・」


逃げられたとは言え、もしかしたら殺していたかも知れない。

いや、むしろそのつもりで撃った事が後ろめたい・・・


「ちゃんと撃てた?」

あれ?


「怒らないのですか?お母様?」

「え?どうして怒るの?」

「だって・・・」


母は身内に対してとても情が深く、

そして若草姉妹を娘として受け入れた。

きっと怒られると思っていた。


「お姉ちゃんなのだから、失敗なんかしたら恰好が悪いでしょう?」


確かにサラアーミアは13歳で若草姉妹は11歳だからお姉ちゃんだけど、

そう言う問題か?


「家族でも喧嘩くらいするわよ。」

「あれは喧嘩ではありませんわ!お母様!」

「どうして?」

「死ぬところでしたもの!」


「死んでいないでしょう?」

「・・・そうですけれど・・・」

「ちゃんと仲直りしなさいね、家族なのだから。」

「は・・・はい・・・分かりました。」


そうだ、彼女達はもう家族なんだ。

どうしてあんな事をしたのか?

ちゃんと話を聞かなければ・・・


「それにしてもあの子達・・・反抗期かしら?」

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16818023212776352980


違うと思います!


「サスケちゃん、ヤツフサちゃん。」

「ウキッ!」

「バウッ!」


「あの子達の様子を見て来てちょうだいな。」

ウキャキャ~!了解~!

ワフワフ!任せといて!


「子供の喧嘩に親が出るのは良くないけれど、

きっと甘えたいのに恥ずかしがっているのね。

素直になれないお年頃なのだわ。」


違うと思います!


***


「四人がかりで聖女ひとり殺せんとね?ほんなこつ頼りなかねぇ。」


ひじ掛けの付いた長椅子にでぇ~んと横たわりながら

あざけるる様にドルフは吐き捨てた。


「仕方が無いでしょっ!」

「あんなの反則よ!」

「死ぬかと思った!」

「おしっこ漏れた!」


リカちゃんファミリーの必死の防御で間一髪にける事が出来た。

危うく蒸発する所であった。


「きさんらじゃぁ二女ば無理やけん、次は三女ば襲いんしゃい。」

「サラーラを!」

「一番の仲良しなのに・・・」

「髪の毛を編んで呉れた・・・」

「嫌だぁ~~~」


城では至れり尽くせりで世話を焼いて呉れた。

一緒に遊んで、一緒に歌った。

一緒にお風呂にも入った。

体も洗いっこした。


下心の爆発したアルサラーラであった。


「カヒがどげんなっても良かね!」

そう、人質を取られているのだ。


「お父様に酷いことしないで!」

「お願い!会わせてちょうだい!」

「三女ば始末したら会わしぇちゃるけん。」


ドルフよ、お前は分かっていないのだ。

先の大戦が何故に一週間で終わったのか。

もしその場で降伏しなかったら、ムーランティスがどうなっていたかを。

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