*第60話 プロポーズ大作戦!

精霊院療養所の一室でアーノルドは、四柱の特級精霊に囲まれていた。

ミサ、ミコ、魔子の正会員と、最近ようやく見習いとしての

入会を認められたハニーの四柱だ。

会の活動中は庶民形態のフラワーハニーでいる事を義務付けられている。


「もうすぐアーミアが来るから、打合せの通りにするのよ。

いいわね?」


「あい分かった。」

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330669659950342


「くれぐれも、さっきみたいな事を言ったら駄目よ。」

「あれは引くわぁ~」


”平凡の友”の巻頭記事として「愛の聖女に恋人誕生!」と題した

独占スクープの取材で来たのだ。


「アーミアの何所を好きになったの?」

と聞いたら

「あの氷の様な目で見つめられたい。」

とか・・・

「あの天使の声でののしられたい。」

とか・・・

うるわしい指先で魔法を叩きつけて欲しい。」

とか・・・


12歳とは思えない香ばしい発言が個室の空気を振動させた。


ちょっとぉヒソヒソこいつヤバいよヒソヒソ。」

目覚めちゃってるよぉヒソヒソヒソヒソ。」

どうする?中止する?ヒソヒソヒソ


最近はネタ不足でマンネリ化に悩んでいた。

こうなったら脱ぐしか無いのか?

と思案していた所に飛び込んで来た話題である。

ボツにするには惜しい!


初デート企画!とか、接吻の決定的瞬間!とか、

シリーズ化する予定だった。


「えぇ~大丈夫だよぉ~カルアンみたいなもんだしぃ~」

ハニーは相変わらずお気楽だぁ~


「そ、そうよね!」

「逆にお似合いだわ!」

「まともな人間に聖女の相手は無理よ!」


売り上げの誘惑に負けた・・・


「あっ!来たみたい!」

「じゃぁ皆んな配置に着いて!」

「チラロイドはオッケーよ!照明さん!影の映り込みに注意してね!」

「はぁ~~~い!」


ハニーよ・・・

君は序列第二位の先輩なのだよ・・・


***********


保護者同伴で来た。

と言っても双子とアルサラーラだけれども。


「大丈夫よ!私達が付いているから!」

「から!」

「いきなり砲撃しては駄目ですわよ!」

う、うにゃらごわ、わかった


ガチガチに緊張している。

恋愛免疫ゼロである。


侍女が来訪を告げると、取次の侍従が応答し中へと案内をする。

さぁ!ご対~面~


はぁ~いカシャカシャ!アーミア~笑って~カシャカシャカシャ!

こっちに視線お願いしまぁ~すカシャカシャカシャ!カシャカシャ!

はい!オッケーでぇ~す!カシャシャシャシャシャ!


「貴方達は何をしているの?」

アルサラーラは呆れてしまった。


「あぁ~私達の事はお構いなくぅ~」

「単なる取材ですからぁ~」

「はい、続けて続けて~」


「はぁ~仕様の無い子たちですわね。

まぁ良いですわ、話を済ませましょう。」


「ちょっと貴方!あれは本気ですの?」

「ですの?」

グッと前に出た双子がアーノルドに詰め寄る。


「もちろんだ!姫に誠を捧げよう!」

言葉は格好良いけれど目がいっちゃってる~


「だそうよ、どうするの?アーミア。」

「どうするの?」


ふにゃらもごにょ・・・どうして私なのかな・・・

それは知らない方が・・・


「何故に私か?と言っていますわよ。」

通訳はアルサラーラが務める。


「あぁ!何もかも愛おしいのだ!その目も!その声も!狂った頭---」

はぁ~い!アー君~ん!カシャカシャカシャカシャ!

目線こっちへちょうだぁ~~~い!カシャシャシャシャシャシャシャ!


ごにょろ?狂った?

頭って言ったよ、狂った頭って。


いやぁ~愛されてるねぇ~打合せしたでしょ!

一途だよぉ~アー君はぁ~教えた通りにしなさいよ!

良かったねぇアーミア~売り上げが掛かってるのよ!


「どうやら本気らしいわね。」

「ね。」

「お姉様はどうですの?」


わ、えぐも・・・にょれ・・・私はその・・・あの・・・


「姫!どうか私の愛を受け入れて欲しい。

その目に我を映し給え。

その口で我の名を呼び給え。

その手で我に触れ給え。

我は汝の僕となりて、

その足元に膝まづかん。」


一体なにを教えているんだよぉ!


「うわっ!キモっ!」

思わず言ってしまったねサラーラ。

確かにキモいけど~


もごごうにゃふにゅまぁそこまで言うならごにょりごにょごにょ考えてあげ無くもないわよ。」


意外とツンデレ~~~



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