*第55話 即断即決
「
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総本山精霊院入学式。
新入生代表
サラアーミア・レイサン・カイエント辺境伯公女
拡声の魔法を使ってもなお、何を言っているのか?
さっぱり分からない。
吐息とうめき声の様なものが聞こえるだけだ。
妙にエロい・・・
カルアンが小刻みに震えている。
まったく仕様が無い奴だ。
”人見知りスイッチ”が入った状態のサラアーミアの言葉を理解できるのは
精霊遺伝子の発現率が一定以上に高い者に限られる。
何故なら彼女が発しているのは人間の言語では無いからである。
上位の上級精霊が発する精霊音声。
それと同等の事をしているのだ。
実を言うとシオンは暫くの間、サラアーミアが何を言っているのか
分からなかったのだ。
「多分こうだべな・・・」
と、
では精霊音声とは何か?
それをここで詳しく説明するのは、とぉ~~~っても長くなるので
止めておこう。
簡単に例えると”中間言語”である。
今のネット環境はスマホにせよPCにせよデジタル接続になっている。
しかし一昔前はアナログ電話回線を使っていた。
デジタル機器であるPCとサーバーの間をアナログ回線で繋ぐ為に
音の周波数を細かく変動させてデジタル信号を表現したのだ。
モデムにスピーカーが付いていて、電話の受話器をそこへ乗せる。
ネット接続を開始すると、先ずサーバーへ電話を掛ける。
「ピッポッパッポピッポピッポパ」
「トゥルルルルルルル
トゥルルルルルルル
トゥルルルルルルル」
「カチャッ!」
「ピィ~~~ヒョロロ~~~
ピィ~~~ガァ~~~」
「ザァ~~~~~~~~~」
「ビコンビコンッ!」
接続中はずぅ~~~っと音がしている。
精霊音声はこれと似ている。
サラアーミアも同じことをしているのだ。
精霊遺伝子は翻訳装置の様なものだ。
発現率が高いと精霊音声を言語として認識し、理解する事が出来る。
結局は長くなってしまった・・・
入学式も終わり、それぞれのクラスへと移動する。
当然ながらサラアーミアと双子は高位貴族の集まるクラスに入る。
「まだ人見知りが治らないの?」
「何が怖いのかしら?」
「
「大丈夫よ!」
「私達が付いているから!」
「
「やぁ!聖女殿!同じクラスで嬉しいよ!」
声を掛けて来たのはターラム大公の孫。
アーノルド・ターラムだ。
彼は今、大変に無礼な振る舞いをした。
聖女であるサラアーミアはこの中で最も高い地位に在る。
そして大公家公女の双子はその次に高い。
大公家と言えども孫であるアーノルドが彼女達と対等に接する事は
本来は許されない。
しかも双子を無視したのだ!
「相変わらずねアーノルド。」
「礼儀知らずねアーノルド。」
双子とは顔見知りである。
「ふん!まがい物に礼儀などいらぬ!」
「なんですって!」
「もう一度、言ってみなさい!」
フリーデルが前国王シルベストの実子で無い事は、
王族と一部の関係者の間で秘匿されている。
だが、人の口に戸は立てられない。
内々では何かの拍子に話してしまう。
「言われて困るのはそちらだが良いのか?」
「なっ!」
「っ!」
彼女達もそれとなくは知っていたのだ。
だがそれを二人は禁句としていた。
「何も言い返せまい、恥を知るのなら今からでも遅くはないぞ。
ダモンの山奥で猿共と暮らすが良い。
あっはっはっは!」
「『ズドン!』」
いきなりだった!
サラアーミアの放った衝撃波がアーノルドを吹き飛ばした!
挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330669009426175
捨てられた人形の様にキリキリと回転しながら
壁に叩きつけられて止まった。
誰もが唖然として声も出ない。
「
決めセリフくらいはちゃんとしゃべろうね、
アーミア・・・
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