*第51話 舞姫

オバルト歴1553年晩秋

聖女一家はウーグス谷を訪れていた。


年初に療養所を退所したジャンゴはシオンと共に谷へ戻り、

観光事業の復活を目標に頑張っていた。


昨年の内に整備が終わっていた温泉は精霊王が太鼓判を押した

”ルルナの湯”として評判を呼んだ。


何よりもサリーちゃんと正式契約し、教会から”聖人”と認められたシオンは、

コイント始まって以来の快挙だと、国を挙げての英雄扱いだ。


演舞場は建て替えられて大層立派になった。

午前と午後の二回公演。

シオンは花形として舞台に立つ。

連日の満員御礼だ。

谷は以前にも増して賑わっている。


本日は大聖女エルサーシアと精霊王ルルナの飛び入り参加!

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330668618048567


シオンは名実ともに舞姫となった。

そして今夜は”キヨランテの夜”だ。


「ねぇお母様、おかしくは無い?」

「とても可愛いわよ!サラーラ!」

ふにゃ?ふにゃ~私は?お母様~

「貴方も素敵よ!アーミア!」


「結構に重たいのね。」

そう、何枚も重ね着してさらに冠を被る衣装は重い。


がへねだばまいね体力が無いと駄目だよ

「無理しなくても良いわよ?アリーゼ。」

「大丈夫ですわ、お母様。」


松明に火がともり、祭りが始まる。

「さぁ!行きますわよ!」


聖女と聖人の五人。

そして五柱の精霊達が舞う。


「あ~すた天気さ、すてけろやぁ~」


炎が夜空に舞う。


************


第一部 シオン編 完

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