*第45話 えろはにほへと

甘い。

とにかく娘に甘い。

チクロより甘い。


「お母様ぁ~♪お願い~が~♪あ~るのぉ~~~♪」

「なぁに~♪サラ~ラ~~~♪」


この時点ですでにOKである。

ルルナ日本語教室の生徒が3人になった。


とは言うものの、

進捗状況しんちょくじょうきょうが全く違うので、

同時に教えるのは効率が悪い。


そこで娘達が新入りの二人を受け持つ事になった。

エリーゼを担当するのはアルサラーラ。

ネフェルはリコアリーゼが教えていたが、サラアーミアに引き継がれた。

サラアーミアの場合は対人恐怖症を克服する目的も兼ねている。


*********


「今日は文章の読解力を養いましょう。」

「お願ぇするでねし。」


『国境の長いトンネルを抜けると二丁目であった。

夜の底がエロくなった。

扉の前に心が止まった。』


「はぁ・・・?」


「”夜の底”とは何を表しているの?

どうしてエロくなったの?

”扉”は何の比喩ひゆ?」


「えぇっど・・・そんのぉ~」

「解らないのですか?」

「『二丁目』って何所だべが?」


「異世界に在る解放区ですよ。」


**********


ふみゅ~もごもごむぐぅ発音の練習をします。」

「え?申し訳ございません!聞こえませんでした!」


ふみゅ~もごもごむぐぅ発音の練習をします。」

「あ!発音ですね!分かりました!」


むにゃもにょふにゅくびちょんぱ

 むにゃもにょふにゅくびちょんぱ

むにゃむにゃもにょふにゅくびくびちょんぱ

むにゃもにょふにゅくびちょんぱ


「え?え?え?本当に申し訳ございません!

聞こえませんでしたぁ~~~!」


あぐあぐもふ~私には無理~


*******


「あぁ、可愛いエリーゼ。

今から『えろは』を教えるからしっかりと覚えてちょうだいね。」

「はぁい!サラーラ様!一言一句をこの胸に刻みつけますわ!」


『えろはにほへと

  ちりちりのけを

そりてつるぺた

  とほとしきかな』

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330668167307992


「あぁ・・・なんと神秘的な響き。」

「これが『日本語』よ!」

「真の精霊言語・・・」


「そうよ!さぁ言ってみて!」


「イェロゥ~ファ~  ニュエイドゥ~

ティリィティリィ~ノゥ クェイウォウ-------」


「駄目駄目!もっとベタ~っと」

「イェロゥ~ファ~」

「伸ばしては駄目よ。『えろは』」

「イ、イェロゥ」

「『え』」

「イェ」

「『え・ろ・は』」

「イェィ・ルオゥ・ヒャァ」


この道~は~♪

 い~つか来た~道~♪


あぁ~~~♪

 そ~うだよ~ぉ~♪


だぁって~此~処~は~♪

君~の~♪

 家~だもの~~~♪

  


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