*第16話 プロポンズ

精霊院初日を終えてエルサーシア一家とシオンは城に帰って来た。

もちろんゲートを使ってである。


カイエント城と総本山とは、馬車での移動であれば片道で30日は掛かる。

ただでさえ荒野のど真ん中に在るのだ。

自宅通学が出来るのは彼女達くらいのものだ。

他の生徒は敷地内に在る寮から通う。


「お友達は出来ましたの?」

「まだ一日目ですわ、お母様。」

「あら、自己紹介したのでしょう?」

「それだけでは、ただの顔見知りですわよ。」


「私は皆さまとお友達に成りましたわ!」

アルサラーラのコミュニケーション能力は異常な程に高い。

特に女子に対しては。


「お母様!聞いて下さいませ!

サラーラったら私を放って置いて、他の人の所に行ってしまいましたのよ!

知らない方が話しかけて来て、もう私、気が遠くなりそうでしたわ!」


自分のテリトリーの中で、周りに身内しか居ない時のサラアーミアは

とってもおしゃべりである!


「まぁ!気を失わずに居ましたのね!偉いわねアーミア。」

「むふぅ!もう8歳ですもの!そんな粗相そそうは致しませんわ!」


「もう8歳なのだから人見知りを治しなさいな。」

「シオンとお話していますわ、お姉様!」

「シオンはもう身内ですわ。学院の同級生との事よ。」


「知らない方は・・・怖いですわ・・・」


「無理をしなくても良くてよ?話したく無いなら無視なさいな。」

「お母様ぁ~~~」


「またそうやって甘やかすから~協調性が育ちませんわ!」

「あら、あちらが合わせれば宜しいでしょう?」


オゥ!サイコパ~ス!


「それが通用するのはお母様くらいですわ!」

「お姉様だって好き勝手にしているではありませんか!」

「あら!どこが?」


「挨拶も無しに、いきなり精霊歌を歌ったでしょう?」

「あれが最高のご挨拶ですわ!」


「私も歌いたかったですわ!

ねぇお母様!

初等科に上がったら私が歌っても良いでしょう?」


「えぇ!もちろんよ、サラーラ!」


「シオンはどうでしたの?

精霊~院のぉ~♪

あぁ~同級生~♪

貴方はどちらからいらしたの?

まぁ!素敵っ!

言葉を交わせば~♪

お~友~達~~~♪

で?どうでしたの?シオン。」


「オ、オラはぁ・・・」

「ん?」

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330665852977696


「オラ、プロポンズされただ。」


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