the Last Judgment

 「わぁ、透、見て見て!すっごい綺麗な川!水が澄んでるよ!」


 「ほんとだ!あ、香澄、見て。魚だ」


 「わっ、たくさんいるね!っきゃっ」


 「あっぶねー。……セーフ。もう少しで転けるとこだったね」


 「ありがと。透が掴んでくれなきゃ確実に転んでたね」


 「ふふっ。相変わらず鈍臭い」


 「へーへー。どうせ私は鈍臭くて、八方美人の優柔不断のヘタレ野郎ですよー」


 「拗ねないでよ。俺そこまで言ってないし!……まぁ、間違ってはないか」


 「……ひっどーい。ふーんだ」


 「でも、そんな香澄が俺を選んでくれた。弱くて卑怯な俺を」


 「そりゃね。だって、弱くて卑怯だろうが、訳わかんないことしか言わなかろうが、無茶なことしようが、好きなんだもん」


 「……容赦ないね。ま、いっか。香澄が俺を好きでいてくれるなら、もうなんでもいいや」


 「……ふふ。ねぇ、今自分がどんな顔をしてるかわかる?」


 「え?俺どんな顔してる?」


 「私を愛してるって言ってる」


 「……香澄だって、俺と同じ顔をしてるよ」


 「え、そう?恥ずかしい……」


 「だめ。隠さないで。もっと見せて」


 「私、透のその目に見つめられたらどんなことだって出来そう」


 「どんなことでも?あ、病気を癒したりとか?」


 「あと、人の考えてることがわかったりとか!」


 「って、それただの超能力じゃん!俺の目に見つめられたこととは関係なさすぎる……!」


 「あははっ!おかしいっ……!」


 「でも、わかるよ。俺だって香澄がいればなんだってできそうな気になる」


 「……透、ずっと一緒にいようね」


 「あぁ。死が2人を分かつとも」


 「ここではないどこかで?」


 「いや。香澄がいる場所が俺のいるべき場所だから」




 ずっと、ここで、永遠に。

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ここではないどこか 未唯子 @mi___ko

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