とある美しい人形に魅せられてしまった男が、欲求に抗えず禁忌の法に手を出してしまう、という物語。 やはり人形を題材に置くホラー作品とは、徐々に追い詰められていくような恐怖感が十八番のように思えます。この作品はまさしく、その王道をまっすぐに貫いたものではないでしょうか。ぜひとも続編で、物語の真相にも触れてみたいものです。
西洋の人形、東洋の人形、東西を問わずホラーにはつきものかもしれない。さてその人形という要素に更に魔術的なものまで加わり、実際に何が起きたのか。人形は追ってきたのか、孤独に耐えられない人形にとって、捨てられるというのは恐怖でしかないだろう。主人公を追い込んだのは人形か、魔術か、自責の念か。読了後に考察の尽きない物語である。