漆黒の夜空を駆け抜ける一筋の光

@itsumonoyouni

第1話

男は泣きすがる女を捨てて家庭を取った。

「一緒になろうね」って言ったのに...。

夜の女と交わす話などその場限りのうわべだけの言葉でいいと思っていた。

やがて男は持ち前の実力と努力が実を結び、人もうらやむほどの出世を果たした。


ある日男は突然胸に痛みを覚え病床に伏した。

丁度その頃あの捨てられた女が不慮の事故に遭い、親しい身寄りもないままひっそりと息を引き取ったのだった。


毎日欠かすことのなかった無病息災と多幸を祈る祈りがその日を最後に止んだのをこの男は知らない。


愛、それは相手を深く知り、思いやり、赦し、そして喜んで仕える心身の業のこと。

遊女にだって一寸の矜持はあるのです。


泣いた女の涙でできた星の雫、天の川。男がふと何かを思いつたように病床から満天の星空を見上げた時、丁度それを待っていたかのように流れ星が一筋、漆黒の天空を駆け抜けていくのが目に留まった。



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