第11話『あれは不審者?』
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
「ねぇ、あれってもしかして……」
「絶対そうだよ……怖いよ……」
「ロングコートにおっきいマスク……」
『口裂け女だよ……』
……
……
「っていう噂がめちゃくちゃ流れてるんだって♪最近は集団下校ってやつをやってる学校が増えてるんだってさ♪本当に見たって子もいるみたいだよ♪」
ロメロちゃんが楽しげに噂話をしている。
「口裂け女って俺が小さい頃も流行ってたなぁ。ワタシ……キレイ?ってやつ。怖かったなぁ……」
「ジョージの小さい頃にもあったんだ♪でも本当にキレイなのかなぁ?」
「口裂け女はその名前の通り、口が耳の付け根くらいまで裂けていて、適切な対応をしないと殺されてしまうみたいですよ。」
エマさん詳しいな。
「アタシ口裂け女さんに会ってみたい♪」
おいおい……ロメロちゃん何言ってんだ……
「そうしましたら会いに行ってみましょうか?」
エマさん本気?
「ちょっと待ってくださいよ!口裂け女に会いにいくなんて危険すぎますよ!!」
「大丈夫ですよ。ワタシは吸血鬼なのでその辺の妖怪に殺されることなんて間違ってもありませんし、皆様をお守りする力もちゃんとありますので。」
なんかサラッとチートキャラっぽいこと言ってるな……
「さすがエマ♪♪頼りになるね♪」
「ありがとうございます。」
「じゃあ噂の場所に行ってみよー♪」
口裂け女って割と下校中とかに遭遇するイメージなんだよなぁ…
やっぱり小学校とかの近くなのかなぁ?
「さぁ、噂の場所に着きましたよ。」
???
「えっ?エマさん?ここってビジネスホテルですけど?」
僕はなにがなんだかわからずソワソワしていると……
「いい加減にしてください!お客様のお名前を教えて頂かないとチェックイン出来ないと何度言えば分かっていただけるんですか?!」
何やら受付の方から大きな声が聞こえてくるので何事かとたくさんの人だかりがてきている。
「どうしたんですか?」
するとロングコートに大きなマスクをした女性が何かボソボソ言っているようだ。
「ワ……キ…………イ」
「?」
「ワタ……シキ…………レ……イ……」
「ワタシキ レイ」
「???」
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜!お客様のお名前を教えてくださいと何度言ったらわかるんですか!!私綺麗?なんてマスクもしてるんですからわかりませんよ!あなたどれだけ自分のこと好きなんですか!!」
「ワタシキ レイです……」
「もぉーーー!!いい加減にしてください!!他のお客様にご迷惑ですのでお帰りください!!家に帰って鏡でも見ててください!!次にお並びの方ぁ〜……」
ロングコートの女性はいそいそと端の方においやられてしまった……
「エマさん?まさか……」
「はい。あの方が噂の口裂け女さんですね。ご挨拶に行きましょうか。」
「ご挨拶……」
「口裂け女さん♪こんにちは♪」
ロメロちゃんのコミュ力がスゴイな!
「ワ……ワタシ……ワタ……シキ…………レ……イ……」
ひっ!本物だ!
「ワタシキ レイさんですね?あなたの行動が町中で噂になってます。このままだとあなたが暮らしづらくなってしまいますよ。一度ワタシたちと一緒に来て頂けますか?」
???
ワタシキさん?
ってことはずっと自分の名前を受付で伝えてただけなの?
「そ……そんな……なんで……ですか?……ワタシ……悪いことなんて……何も……してないのに……」
「ウチの代表がお待ちなので一緒に来ていただきます。」
「えっ?!ミアンさんが呼んでるの?!」
オーバールックへいらっしゃい!〜高収入美容室に転職したらお化生担当になりました 〜 スミ坊 @SUMiB0NE
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