ハロウィン
白川津 中々
■
「……ハロウィンだな」
「お菓子食べる日ですね」
「いや、その認識は違う」
「何が違うんですか? 貴方、デパ地下見ましたか? どこもかしこもカボチャだの芋だのミルクだのと、こぞって期間限定のお菓子を陳列していたじゃないですか」
「それはそうだけど、元々は収穫祭的なアレがあってだな……」
「元ネタの話ですか? 馬鹿ですね貴方。商業主義に毒された日本において起源がなんだなんて関係ないんですよ。クリスマスが何を祝っているか、バレンタインはなぜチョコレートを配っているか、果たしてどれだけの人間が意識しているといういうのでしょうか。社会的に、ハロウィンはホラー要素の強いパッケージングがされたお菓子を買って食べる日に他ならないんですよ」
「お前はどうも世の中を俯瞰して見下す傾向がある。いかんぞぉそういうのは。俺はお前の将来が心配だ」
「大きなお世話です。ところで、お菓子、くれないんですか?」
「散々腐してたくせにねだるのか」
「それはそれ。これはこれです。あるんでしょう? カボチャのケーキが。匂いでわかりますよ貴方。私は鼻が聞くんです」
「目ざとい……いや、鼻ざとい奴だな。まぁ、確かにあるが……そうだ。お決まりのセリフを言っておこう。トリックオアトリート?」
「トリックって言ったら、何するんです?」
「え!?」
「……冗談ですよ。さ、早くケーキをください」
「……ほらよ」
「ありがとうございます。あ、紅茶を入れてきますね。貴方はその間、テーブルの準備をしておいてください」
「はいはい……」
ハロウィン 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます