宵闇にあるものの物語

第一話「邂逅 ①」

　とある真夜中。

　デパートのエレベーターの中には、二人の男が対角になり壁に持たれて立っていた。

　奥側に居る少年。彼の年齢は十五、六歳といったところか。右手でトランクを持っている。黒い絹のような髪と、重く暗い色をした瞳。細身の体は、幼い少女を連想させる。

　対して、入口側に居る男は、ひどく肥えており、頭も禿げている。

　彼の名前は大塚玄生（おおつかくろお）という。・・・もっとも、今から死ぬ彼に名前が必要かどうかは謎だが。

　少年はトランクの中から銃を取り出す。男は反応するも、それは遅かった。

　少年は既に男の胴体に銃弾を打ち込んでいた。その銃弾は男の体内で溶け始めた。途端に男は全身に血管を浮かび上がらせ、声も出せないほどの苦痛を味わいながら死に絶えた。

　腹部から血を出し、その場に倒れ込む男。ビクビクと痙攣し、顔は悲痛そのものだ。少年は一瞥もせずにその場から去っていった。