花言葉 ヤマブキ(3月28日)

 朝から再び冷たい雨が降る関東です。おや、昨夜の時点では曇り空くらいの予報だったような気がするんですが。桜を眺めながらのお散歩は、また先送りになりそうです。

 春と言うと、すく桜の話題になってしまうのは、ある意味、メディアの策略に負けているようにも思います。

 ソメイヨシノが、それだけ特別になったのは様々な歴史があるからなんでしょうけどね。


 桜の話をする旅、春の色は黄色なんだよと言った話題も、この三月に繰り返してきました。

 3月28日の誕生花『ヤマブキ』も春の訪れを告げる黄色い花ですね。

 花がパッと浮かばなくても、山吹色やまぶきいろという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。優しい黄色を表す言葉ですね。


 この花の名は、春になると黄色い花で山が埋めつくされるさまを表した言葉、「山春黄やまはるき」が変化したといわれています。

 また、谷底に落とした金貨がヤマブキの花になったという逸話があるほど、春の山を彩る美しい黄色は人の目を引く鮮やかさです。


 そんな『ヤマブキ』の花言葉は『気品』『崇高』『金運』です。金運は、金貨が花になったという逸話からきているのでしょう。

 その他の花言葉は、もしかしたら、兼明親王の詠んだ歌が由来かもしれません。

 後拾遺和歌集に、その歌はあります。


   七重八重 花は咲けども

     山吹の実の一つだに なきぞ悲しき

                  兼明親王


 ある雨の日、みのを借りたいとう客人にヤマブキの枝を渡しました。後日、花を持たされた意味が分からなかった客人に、その意を求められ、兼明親王はこの歌を詠んだそうです。

 意味は「山吹の花は七重八重と開くが、実がひとつとなることがない(蓑一つさえもない)のは悲しいことです」といった感じでしょうか。

 兼明親王の優雅さが伝わるのは「実のひとつ」に「簑ひとつ」をかけて、詫びていることですね。


 この歌は、後に太田道灌おおたどうかんのある逸話に出てきます。

 鷹狩りの折、雨に降られた道灌が蓑を借りようと民家に立ち寄ると、少女はヤマブキの花を手渡します。

 道灌はこの意味が分からず、立腹して雨の中を帰ることとなりますが、後に、家臣から兼目明親王の歌を知らされます。少女は「貧乏ゆえお貸しできる簑がありません」と言葉にせず、ヤマブキの花に思いを託したのです。

 貧しい娘すら知る歌を知らなかった己の不勉強を恥じた道灌は、これをきっかけに歌に目覚めたそうです。

 この逸話は、江戸時代に教訓の説話としても有名だったようですね。浮世絵の題材にもなったそうですよ。

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