花言葉 シオン

 昔、それこそ20年以上前なんですけどね。小説で、シオンと言う名の女の子を書いたことがあります。主人公に恋をするんですけどね。事件に巻き込まれて命を落としちゃうんです。

 主人公は、恋まで至っていなかったけど、シオンに好意を感じてはいたので、責任を感じながらも再び戦いの場に向かう……て感じの悲恋だったんですよね。


 あの頃、シオンの花言葉なんて知らなかったんですけどね。すごく花言葉がぴったりの話なんです。


 10月16日の誕生花『シオン』の花言葉は『追憶』『君を忘れない』『遠方にある人を思う』です。


 君を忘れない。まさに、昔書いた小説の主人公の感情を表しています。思い出したら、ちょっとリメイクしたくなってきました。元が紛失しているのですがね。


 この花言葉について、どこかで語ったような気がするんですよね。でも、思い当たる部分を読み返しても見当たらないんですよ。どこで書いたのでしょうかね?


 さて、ノスタルジーを感じる花言葉ですが、これは古典文学、今昔物語にある一つの話が由来となっています。


 今は昔、父を亡くした仲の良い兄弟がいました。

 墓参りをかかさなかった兄弟でしたが、仕事が忙しくなった兄は、悲しさを忘れさせてくれると言う忘れ草を墓前に植えたそうです。それから、次第に墓参りをしなくなりました。

 弟は墓前にシオンを植え、雨の日であろちあとも、毎日墓参りを続けたそうです。

 これに感心した鬼がいました。鬼は、弟に予知能力を与えました。その力のおかげで弟は幸せに暮らしたそうです。


 花言葉の思いは、亡くなった父への祈りだったんですね。


 一見、兄が血も涙もないように見えますが、この忘れ草は、兄の「墓参りに来ない親不孝な私を忘れてください」と言う、懺悔のような思いが込められているのだと思います。だからこそ、弟は兄の分まで墓参りを続けることが出来たのではないでしょうか。


 生きるために働かなくてはならない。だけど、故人を思い出せるのは生きている者だけ。

 お墓を守る苦労と故人を思う気持ちは、今も昔も変わらないのですね。


 この植えた忘れ草は、カンゾウだと言われてます。ニッコウキスゲの仲間になるんですよね。だから、ニッコウキスゲの時に話したつもりでいたのですが、そちらでは今昔物語に触れていませんでした。


 もしも、他の場所でこの話に触れていたら、ごめんなさいね。

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