花言葉 ムラサキシキブ

 秋の色といったら、何を思うでしょうか?

 ゆっくりと染まりゆく山々の赤、茶、黄色、菊やコスモスを彩る白やピンク。派手すぎず、落ち着いた風合いの趣ある風景が出来上がると思います。

 その中で、時おり見せる色が紫です。


 機能のエッセイでお話ししたシオンも、代表的な花色は紫ですね。紫苑しおん色と和の色に名が残るくらい、古くから親しまれている花です。

 他にも、ブドウやアケビなど、秋に色づく果物も紫のものがありますね。

 趣ある秋の風景画に、ぽっと紫の差し色をすると、突然物語が動き出しそうではありませんか?


 10月17日の誕生花『ムラサキシキブ』も、美しい紫の実をつける低木です。開花時期は夏になるのですが、花よりも実の方が印象的なため、秋の誕生花に選ばれたのかもしれませんね。


 ムラサキシキブと聞けば、かの女流作家・紫式部を思いだすでしょう。

 紫の小さな実か集まる姿が美しく、紫式部を思い起こすことから、その名がついたと言われています。

 枝いっぱいに敷き詰められるようになる様子を表し「紫敷むらさきし」と呼ばれていたものが、形を変えてムラサキシキブになったという説もありますが、個人的には、この二つの混合ではないかと思っています。


「紫敷き実だと語呂が悪いよね」

「あの美しさだ。もっと良き名があるじゃないか」

「紫といったら、紫式部だろう!」


 そんな会話があってもおかしくないかなと。

 勝手な憶測ですけどね。


 ちなみに、日本が原産国なので海外ではJapanese beautyberryと呼ばれています。

 基本的に、海外では小さな実をつけるものはベリーと呼ばれるのですが、そこにbeautyがつくのは、まさに、その美しい色合いを讃えているようですよね。

 なお、毒はないようですが、食べるという話を聞いたことはないです。海外でベリーと名がついていても、鳥達のご飯か観賞用と思った方が良いと思います。


 そんな『ムラサキシキブ』の花言葉は『聡明』『上品』『愛され上手』です。

 聡明と上品は紫式部のイメージですよね。愛され上手は、源氏物語の主人公、光源氏の恋多き人生を意味しているのでしょうかね。

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