花言葉の歴史

 日本に花言葉が伝わったのは明治時代と言われています。開国して海外の文化を取り入れ、女性の教育に目を向ける動きが起きたのも、きっかけの一つになったのかもしれません。


 また、与謝野晶子が花言葉を題材にした短歌集『花』を出版したことも、一躍を買ったように思います。


 そもそも花言葉はどこから始まったのでしょうか?



 どうやら、トルコ発祥説が濃厚なようです。

 古くから『セラム』という風習があり、贈り物に詩句を添えたそうです。花や果物だけではなく、様々な贈り物に言葉を添えていたとか。なんともロマンチックですね。


 この風習を、イギリスのコンスタンティノープル(現代のイスタンブール)駐在大使夫人が、美しい文化の一つだと本国で紹介したそうです。

 ただ、その記録が出版物となって世に出たのは夫人の死後で、それほど広まらなかったみたいですね。


 では誰が広めたのでしょうか?


 本格的に広まるきっかけは、フランスで貴族階級の女性達が作ったと言われています。

 花を擬人化した詩文集やエッセイが出回っただけでなく、恋を絡めた話を綴った手書きのノートを回覧する、なんてこともあったとか。


 手書きのノートを回覧する……こっそり授業中に創作メモをしていた学生の頃を思い出します。今も昔も、思い付いた話を誰かと共有したい気持ちは変わらないようですね。


 そんな中、パリで花言葉辞典が発行されました。これが大ヒットし、海賊版まで出たっていうんですから、相当なムーブメントとなったのでしょう。

 ヨーロッパ全土に止まらず、海外まで広まった花言葉は、ついに開国をした日本にも伝わったのです。



 ヨーロッパで生まれた花言葉ですから、その言葉の多くはギリシャ神話やヨーロッパの文化、伝統などが大きく影響しています。

 でも、日本の伝統、伝説が花言葉となったケースもあります。以前、花言葉として綴った『オトギリソウ』が、まさに日本で形が変わった言葉といえるでしょう。


 西洋と東洋に分けただけでも、文化の違いや生息植物に違いがあるのは容易に想像がつきますよね。花言葉がない花もあったことでしょう。

 ないのであれば、作れば良い。そう考えてもおかしくないですよね。


 『花言葉』という概念が世界に広まり、各国固有の文化や伝説が混ざりあい、新しい言葉が生まれるようなったのも、自然な流れだったのでしょう。


 こうして、一つの花に対して花言葉が複数あったり、意味が違うものが並ぶようになったようですね。

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