最近不思議で仕方ないのは、

新垣 透というホストの正体。


バス停で待つ彼の姿を確認すると、必ず誰かしらに囲まれていて。






『トールさん、車出しますよ?』


『いや、いーよ。バスで帰るから。』


『透クン、今度うちの店にも顔出してよ~?』


『ええ、近々伺いますよ。』



いつも乗車前には、

熱烈なお見送りが繰り広げられていた。









『次は×××────…。』



またひとり、乗客が減り。

終点間近になれば訪れる、ふたりきりの時間。







(っ…──────!)



…勘弁して欲しい。

こうもじっと見られては、運転中だと言うのに気を取られ業務に支障をきたしてしまう。







どうして彼が私に、ラブレターなんかを寄越したのか。


あの野菜は…餌付けか何かか?

だとしても野菜って、なんなんだ?





一番不可思議なのは、


人気のありそうなホストが、どうしてこんな山奥までバスなんかに乗っているのか。






気付けば一日中、彼の事ばかり。

餌付けの品に添えられた恋文は、


二通目になった。










─────拝啓、蓮村 真幸様



あれから如何お過ごしでしょうか?



少しは僕の事を意識してくれたようで嬉しいです。



野菜はうちで育てた新鮮な物です。

美味しいですから、是非召し上がって下さいね。





今度うちに遊びに来ませんか?

料理が得意なので、腕を振るってご馳走しますよ。


家族も紹介したいので。

良い返事をお待ちしております。



──────新垣 透







(じゃあなんで連絡先を書かないんだ…)



告白して家族とか…

奥さんでも紹介するつもりなのか?



これも彼の意図的な作戦…?







放っておけばいいのに。

気になって仕方ないから。



これじゃあまるで私が─────…







「…あの…」



振り返った彼は、どこか嬉しそうで。





「これを――…」



余りにも眩しすぎて俯きながら、



私は、白い封筒を…彼に差し出した。

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