第10話
夕食をとり、一段落つくとガレスは明日以降の計画について話を切り出した。
「明日以降、本格的にB-2地区の調査及び、通信機の設置を開始する。通信機だがB-2地区内の3か所に設置する必要がある。設置箇所だが地区内の南北及びその中間の3か所だ。まずは一番近場である南部から設置し、中間、そして北部と北上していく計画だ。設置までの期間だが、今まで節約していた消耗装備や物資を開放し、最速で終わらせることを考えている。身体強化の変換率を上昇させれば、移動時間は南部まで半日、中間まで1日、北部までは2日弱といったところだろう。ファルガ、通信機の設置にはどの程度時間がかかる?」
「通信機器とその周囲に魔術結界を付与した魔道具を設置する必要があるんで、全ての作業が終わるまで各箇所毎に約1日ってところでしょうか。ただし、結界を張る魔道具のコアはレンカでないと取り扱えないっす。」
ファルガがガレスの質問に答えながら、レンカに視線を向けた。
「コアの起動は一時間もあればできるよ。」
ファルガに視線を向けられたレンカは、その意図をくみ取り、回答した。
「なるほど、では南部の通信機器の設置を行い、その後中間位置までの通信機器の設置を行う。ここまで行ったら一度この中継拠点まで撤退し、1日休息をとり、疲労の回復を行う。そして北部まで移動し、通信機器の設置を行ったらまたこの中継拠点へ戻ってきて休息をとる。今後の作戦はこの形で進めるが質問は無いか?」
ガレスは今後の動きについて簡単に説明すると、チームのメンバーを見回した。
「移動中の戦闘は全員で行うとして、通信機器や魔道具の設置中の戦闘要員はどうしますか?」
レンカはガレスへ気になっていた内容を問いかけた。
「移動中の戦闘はお前の言った通り、全員で行う。通信機器設置中は、ファルガは通信機器の設置に専念、レンカは結界魔術の魔道具のまずコアを起動させろ。基本的にレンカは魔道具の設置を行ってもらうが、必要に応じて戦闘にも参加してもらう。俺とハオリは周囲の警戒及び戦闘要員だ。その時の状況によって多少の変動は生じる可能性はあるが、各々の役割はこう考えているが問題ありそうか?お前の負担が多くてすまないと思っているが…。」
「いえ、私も同じ考えでしたので問題ありません。…中級神兵が出現してきた時の対応はどういたしますか?」
「中級が出てきた場合、できれば全員で対応する。最悪俺かレンカで対応する。ハオリとファルガは単独での中級との戦闘は禁じる。」
「…こういうのは何ですが、ガレスさんでも単独で中級を討伐できるかと言えば…。」
ガレスの判断に、レンカは言いにくそうに反論した。
「そうだな、正直難しいだろう。特に中級神兵以上が持つ‘核‘を破壊するのは、俺の特性ではできない可能性のほうが高い。ハオリであれば‘核‘に対して有効間手段があるため、俺とハオリはセットで中級に対応する。」
「わかりました。ただし、中級のタイプによっては一時撤退も視野に入れてください。」
「わかっている。必要以上の危険は侵さんよ。ハオリもそれでいいか?」
ガレスはレンカとのやり取りに切りをつけると、ハオリに視線を向けた。
「はい。特に異論はないです。」
「よし、それでは明日以降は基本的にこの内容で進行する。明日に備えてそろそろ休むぞ。」
ガレスはそういうと、周囲警戒用の探索機を起動し、会議を切り上げた。
今回の任務の本格的な作戦がいよいよ開始される。
夜が明け、各々準備を整えると、B-2地区の南部へ向けて出発した。
B-2地区へ到達し、南部の通信機器設置位置まで移動していると、探索器に神兵の反応があった。
「ガレスさん、神兵の反応ありです。反応は8体ですね。」
一行の先頭を務めているレンカが、神兵の反応についえガレスに報告した。
「8体か…。数が多いな。レンカ、先行して中級神兵がいないか確認してきてくれ。中級が居るなら迂回するが、全て下級の場合そのまま進行し、殲滅する。」
「了解しました。」
「気を付けてね、レンカ。」
ハオリの言葉に頷くと、レンカは探索器の反応があった方向へ移動し始めた。
レンカが探索器の反応があった付近にたどり着くと、その場にいた神兵を目視できた。
(…!見つけた。数は…8体で特に変更は無し。全て核が見当たらないし、下級の昆虫型か。地上カマキリ型が5体、飛翔型が3体か。飛翔型はトンボか?飛翔型は俺が相手したほうがいいな)
レンカは目視できた神兵の情報を小型通信機でガレスたちに伝えた。
「こちらレンカです。神兵目視できました。下級の地上型5体、下級飛翔型3体で全て昆虫型です。」
「こちらガレスだ。了解した。全て下級なので殲滅するぞ。今からそちらに向かうのでそれまで待機だ。」
「了解、通信終了します。」
ガレスたちとレンカが合流すると、簡単に打ち合わせを行う。
「レンカは飛翔型3体の相手を頼む。俺はカマキリ野郎の3体を討伐するので、残りはファルガが引き付け、ハオリがとどめを刺せ。」
「「「了解。」」」
各々役割を聞き終えると、戦闘態勢に入った。
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