第45話 夏ツーリング バカ話

「料金所めんどいわ〜」

「あ〜 まあ確かにな〜」

「チケット 風に飛びそうになって握り潰しちゃったよ」

「は? どういう状況だよソレw」


松本インターを降りて上高地かみこうち方面に向かい 山に入る前にとガスを満タンにして で今は風穴の里で休憩中


「いやだから チケット右手に持って走り出したら 風がビュッて来てチケット飛びそうになって アブねっ!っつってグシャっ!てw」

「ははっ 何やってんだか」

「む… じゃあテルはどうやって持ってんのよ?」

「どうって ん〜… 普通に親指と人差し指で持って で残りの3本でアクセルって感じかな」

「ん〜 こう持って…アクセルがこう? いやこれじゃブレーキかけれねぇじゃん」

「ブレーキ? ブレーキなんかリヤだけでいいじゃん そんなスピード出すわけでもないし」

「ん? リヤ? … あ〜 リヤね はいはい分かってる分かってる」

「あれ? カツ?」

「ん? なに? いや違うよ? チケットごとブレーキかけて更に握り潰したなんてそんな間抜けな事はしてないよ? 足でリヤブレーキかければ手にチケット持ってようがなんも関係ないって言うんだろ?分かってる分かってる」

「メッチャ説明ゼリフじゃんw」

「なになに 何の話よ?」

ケンゴが話に混ざる

「いや カツがさぁ〜…」



「は〜ん…いいじゃん少しくらい潰したって使えるし オレもポケットに突っ込むからぐしゃぐしゃになるよ?」

「あ〜 まあケンゴならそうだろうよ」

テルが呆れて言う

「まあケンゴの事は置いといて でもやっぱ手間だよなあ料金所 降りる時なんか特に」

「そうそう 俺が言いたかったのはそういうこと」


「オレの扱いひどくない?」


「まず 前の人が払ってる時に準備しとこうかどうしようか ちょっとソワソワする」

「わかるw」


「ねえ聞いてる?」


「チケットどこやったっけ? グローブ外しとこうかな?みたいな」

「なんて考えてるうちに自分の番になるw」


「もしもーし」


「停まったら停まったで なかなかニュートラに入らなくて焦ったりして」

「あーもう ってキーをオフにするw」


「無視すんなよお前ら!泣くぞ!」



「わかったわかった だから泣くなよ」

「グローブが邪魔なんだよなー」

「そうそう チケットと財布を出すまでは良いんだけど小銭を出そうとして ああっ!ってなって結局外す」

「グローブ着けたまま札で払って お釣り受け取る時に ああっ!ってなって結局外すw」

「まあオレは大丈夫だけどな」とテル

「??」

「ああそうか 君は真冬でも指切りグローブの人だったね」

「今年は買えるといいな …グスッ」と鼻をすする

「いや買えない訳じゃないから!どうしようかな~って思ってるうちに春が来るんだよ」

「どうしようかな期間が長ぇな!」

「早く支払ってどかないと後ろが詰まってる って焦るしなぁ」

「そんなん後ろなんか気にしないでグローブ外して落ち着いて払えばいいんだよ」

クスダさん達も会話にまざる

「車だってモタモタしてる奴は居るしなあ」

「まあ 確かに」

「クマガヤなんかいつもメッチャゆっくり払ってるよな」

「ああ だって焦ったってさほど時間なんか変わらないし 慌ててやってチケットとか小銭落とす方がよっぽど迷惑じゃん」

「そりゃそうだけどさ」

「ポーチがあるとすげぇ便利だぞ オレはハンドルの所に付けてるけど」とこれはアマイさん

「チケットとか小物も入るし コインホルダーが付いてるからグローブ着けたまま払ってお釣りはそのままポーチにポイッと入れりゃあ良いしな」

CBのハンドルブレースに付けてあるポーチを見せてもらうと 確かに良い!

「お~ メッチャ良い 俺も買おう!」

「まあ チケットだけ渡して 後ろの奴が払うからっつって通り過ぎてもいいけどなw」

「クスダがそれやるならオレもやるわ 後ろがっつって指さして」

「それならオレもやりますよ」とアマイさんも続く

「いや それやったら最後のオレがまとめて払う事になるやないですか!」テルがわめ

「ん? そうか じゃあテル君頼んだ」

「よし 帰りはそれで行こう」

「よし じゃねぇよ!」



「そもそもバイクに優しくねぇんだよな色々が」

「車と同じ料金ってのがおかしいし」

「そうそう 車より軽いし小さいだろうが」

「排気量を基準に考えるなっつの」

「料金所の前後にバイク用のスペースでも作れっつの」

「高速専用のカードとか作りゃあいいんだよ」

「むしろバイク無料にすりゃあいいんだよ」etc.etc.

出てくる出てくる みんな思うところがあるみたいだ

そしてこの時の俺達の会話が 後のETCの普及につながったという説があるとかないとか…  ※注 無い



こういうツーリング中のバカ話もツーリングの楽しみの一つだと思うんだ

「さて そろそろ動くかー」

「ういーす」

いつものごとくクスダさんが音頭をとってみんなが動き出す

「サイトウ こっから先はずっとクネクネ道だからな 覚悟しとけよ」クスダさんがニッと笑う

「りょーかいっす」

装備を整えてエンジンをかけるとサベージが隣にきて

「カツ そういやあバイク マフラー変わってんじゃん」とニヤニヤ

「え?今それ言う? なんだよもっとちゃんと褒めろよー!」

「ほら 前 行ったぞw」とアゴをしゃくる

「んにゃろうw」

ヴォン ヴォン ヴォン!

俺は無駄にアクセルを吹かしてから走り出した


 




















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