第44話 夏ツーリング 高速

ランプを加速し本線に合流 松本方面に向かうとすぐにトンネル入る

ㇷァアアーン!

排気音が反響して聞こえる

(俺の排気音かっちょいい〜)とニマリとすると

ドドドド!…

(テルのサベージがトンネルに入ったのか…今日も爆音仕様かw)

ガオオオオーッ!

(クスダさんが加速したかな? トンネルって結構響くんだな)

アマイさんについて走り トンネルの暗さに目が慣れた頃 光の出口が見えた

バッ!

トンネルを出ると真夏の明るさが目を焼く


目を細めながら先を見ると クマガヤさんが追い越し車線に出てクスダさんを抜いて行き アマイさんも続く

(よし!俺も!)

追い越し車線に出てアクセルをあける

バババババッ… 排気音が風切り音にかき消される クスダさんを横目に追い抜きチラリとスピードメーターに目をやると針は120を指していた

(これで120も出てるのか…もうちょいイケそうだな)

昔 車の高速教習で 危険だから絶対に窓を開けないようにとか言ってたけど 120で全身に風を浴びてるこの状況はどうなんだ? なんて考える余裕すらあった


ところが 2人に続いて更に加速していくと突然世界が変わった

ボボボボボッ!!ドッ!ゴウッ!!

空気の塊が俺とXJRに叩きつけられる

風圧でメットが引っ張られあご紐が喉に食い込む 慌てて上体を伏せてもスクリーンもカウルも無いXJRじゃさほど変わらない

重いはずの車体が右に左に振られる

その突風を例えるなら ぬいぐるみを連続で思い切り投げつけられている様だとでも言おうか それもデカくて重いやつをだ

ゴウッ!! 横風に煽られて勝手に車線変更しそうになる

(おわ! おっかねぇ〜)

ビビってアクセルを戻すとハンドルが振られる

(おおー 減速も気が抜けねぇよ…)

ウィンカーを出して走行車線に戻る


(はあ〜 焦った〜 いきなり風が変わったなぁ… てゆーかクマガヤさんとアマイさんも俺とおなしネイキッドなのにすげぇな…)

ペースダウンした俺を残してすでに2人は遥か先だ と

ガァアアアーッ!!

追い越し車線をバイクが加速して行く クスダさんのニンジャだ

(速ぇ〜っ!何キロ出てんだ!?)

ついて行ってみようという気にすらならない速度差だ

(まあ まだケンゴとテルが後ろに居るしな…)

なんて思って走っているとバックミラーにバイクが映る

(来たかな?)

ブィイイインッ!!

ケンゴのスパーダが並び 俺の方を見ながら抜いて行く

ダダダダダダッ!!

続いて目一杯体を伏せたテルのサベージが並ぶ 多分フルアクセルだ

テルも俺の方を見ながら抜いて行く

(ははっ!よし 行くぞ!!)

追い越し車線に移り2人を追いかける

250のスパーダや単気筒のサベージに遅れを取るわけにはいかないだろ?


ㇷァアアアーン!!

2人に追いすがると走行車線に移って道をあけられる

さあ 性能差の直線番長のお通りだw

今度は俺が2人を見ながら横に並び メットの中でニカッと笑って追い抜く

(よし! もう一回チャレンジだ)

2人を抜いて更に加速すると

ッボボボボボッ!!風が変わる

(うおー! やっぱ150位に壁があるな)

タイヤの接地感がなくなってフワフワしてる気がする

ゴウッ!! 突風に煽られる

(ダメだ やっぱ怖えぇ)

アクセルを戻して走行車線に移り その後はケンゴとテルを待って3人で抜いたり抜かれたりしながら走った


しばらく走ると走行車線を流しているクスダさん達に追いついた 俺達もアマイさんの後ろについて隊列を組み直す

もうすぐ松本インターだ




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