第43話 夏ツーリング 出発

「さって 行くかぁ」

クスダさんが立ち上がる

「取り敢えず松本まで高速使うから で後は下道で上高地方面な」

「りょーかいです 松本まで高速だってさー」

「はいよー」

「うい〜」

クスダさんに返事をしつつケンゴとテルにも伝える


メットとグローブを身につけてエンジン始動

キュキュキュッ ヴォーン!

(よし行くぞ)

みんなのエンジンにも火が入りそれぞれに動き出して道路に出ていく

ガォオーン!ガウッ ガゥゥ…

ドドンッ!ドドドド…

ブォーン!ブォン ブゥゥン…

俺はこの一連の動きと排気音が好きだ

さあ行くぞ! 始まるぞ! 楽しもうぜ! そう声を掛け合っているみたいな気がするんだ


駐車場を出てすぐの信号で止まる 隊列は クスダさんのGPZ クマガヤさんのXJR アマイさんのCB 俺のXJR ケンゴのスパーダ テルのサベージ 総勢6台だ

ゴォォォォォ……

ボゥボゥボゥボゥ…

ドドドド……

排気音が重なって耳を圧する六重奏に包まれながら信号が変わるのを待つ

シグナルブルー ツーリングスタートだ

ガウッ ガゥゥウウーッ!

ヴォン ヴォォオオーッ!

排気音が高まり 俺の気持ちも高まっていく


(さって まずは高速か… って ん? 考えたら俺バイクで高速って初めてだな ま 車とおんなじか)

5分も走ればすぐに高速の入口だ

クスダさんを先頭に料金所に入っていくと〈単車は一列に〉という看板に目がいった

(おっと 横並びはダメなのか 今までこんな看板気にした事なかったわ)

クスダさん クマガヤさんと 料金所を通過していく

(なるほど チケットをサッと取って路肩に行けばいいのか)

アマイさんが通過して俺の番だ

(よし サッと取ってアクセルを…あ!? チケット持ってたらアクセル握れないじゃん ん〜… よし こうだ!)

チケットを人差し指と中指で挟んで持っていない指だけでなんとかアクセルをあけて走り出す と

ビュッと風が吹いてチケットが飛びそうになり慌ててチケットごとアクセルを握りなおす

(あ〜あ…結局グシャグシャだよ…)

そして路肩まで走った所で気づいた

(あ!ブレーキかけれないじゃん!)

さらにチケットがグシャグシャになった事は言うまでもない…


チケットを革ジャンの内ポケットにしまうと クスダさんが後ろを振り返る みんな準備完了だ

ガウッ ガゥゥウウ!

ヴォン ヴォォオオ!

アマイさんに続いて俺も走り出す


初高速のスタートだ

















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