第38話 カスタム談義

「そりゃマフラーだろ」

「まずはマフラー 基本でしょ」

「ですよねw」

クスダさんとアマイさんの返事は予想通りだった

例によって仕事の昼休み いつもの休憩スペースでショート缶を飲みながら まず何からやるべきかバイクカスタムについて二人の意見を聞いた所だ

「ネイキッドならフルエキにしたいトコだよなあ」

「でもフルエキって高いんすよねぇ…」

「そんなのローンローン 鬼ローンだよw」


ここでちょっと説明すると バイクの排気管は3つのパーツで構成されてる事が多くて エンジンにつながるフロントパイプ 集合部があるセンターパイプ 最後にマフラー(消音装置)で これ全部でフルエキ(フルエキゾースト)って事なんだけど XJRみたいなネイキッド(カウルが無いバイク)は前から後ろまで排気管が全部丸見えだから社外品に交換すると超カッコ良くなるのだ けど まあ高価たかい 15万円以上するのが当たり前 車に比べたら短いし小さいのにやたらと高い っていうかバイクパーツは総じて高い だから吟味に吟味を重ねてこれって言うのを買わないといけないのである


「なんか狙ってるのはあんの?」

「いくつかはあるんですけど決めかねてて…」

「XJRは人気あるから色んなとこからパーツ出てるからなぁ」

「そうなんすよ 俺が雑誌で見たのはヨシムラ モリワキ KERKER 月木 デビル バンス&ハインズ テルミニョーニ…」と指折り数えて

「で バンス&ハインズがカッコ良いなと」

「バンス&ハインズ? 渋いとこいくなぁ 実物見たことないよ」

「いや 楕円のサイレンサーとロゴがカッコ良くて」

「まあ見た目は大事だよなやっぱ 音は付けてみないと分かんないしな」

「そうっすよね 見た目大事ですよね」

「そりゃそうさ 自分好みにカッコ良くしたいからカスタムするんだろ? まあ性能も大事かも知れないけどやっぱ一番は見た目だろ!」

「自分がカッコ良いと思ってりゃあそれでいいんだよ 人と同じじゃあつまんないしな〜」

「マフラー替えたら次はバックステップも入れたいんすよねぇ」

「気が早ぇなw」

「いいじゃんいいじゃん したらショック替えて〜 ホイールも替えて〜 全塗して〜 キャブ替えて〜…」

「いやいや! 金がないっす!」

「だろうな  バイク1台余計に買ってるしw」

「それは言わないでください… でもバイク雑誌見てたら 色々替えたくなりますよね」

「だよな〜 どうせならカッコ良いバイクで走りたいもんなぁ」

「パーツ替える想像するとニヤニヤしちゃうんすよ」

「分かるw」

「アレ替えて〜 次はコレ替えて〜って替えてもいないのにイメージだけが膨らんじゃって」

「それがまた楽しいんだよなぁ〜」

「まずはマフラー 見た目も変わるし音も変わるしで一石二鳥っすよね」

「で ショボい音だと切ないけどな」

「爆音は困るけど 静かすぎてもつまんないっすよねぇ」



元々良くしてくれてたけど バイクの免許をとってバイクの話をする様になって二人との仲が一層深まった気がする ツーリングに行ったり カスタムの話をしたり 目には見えないけどバイクに触れていない時でも バイク仲間 っていう繋がりが確かにあって 今だってこんなにも楽しい



「あ〜 夢が広がるなあ〜」

「ま とは言え 焦って決める事はないだろ? しばらくは乗れないだろうしな…」

「ですよねぇ…」

3人揃って外に目を向ければ 空は暗く シトシトと雨が降っている

「完全梅雨入りだなこりゃ…」

「まあ ゆっくりパーツを選ぶには丁度良いんじゃね?」

「そうっすね 安い買いもんじゃないしもうちょっと考えて見ます」


カスタムの方向性だったり 何が良くて何がだめと感じるかは人それぞれで そこがまた楽しいトコだと思う 俺は俺が格好良いと思うバイクにしていきたい まずはマフラー交換 超楽しみだ 












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