第21話 初ツーリング その帰路
テルの読み通り しばらく走ると雨は止み路面も乾いていた
びしょ濡れって言うほどじゃないけどジーンズが湿って冷たい 気温も下がって結構寒くなってきた
夜の山道は真っ暗で この時間対向車もほとんど来ない
灯りといえばバイク3台のヘッドライトだけ ハロゲンライトの茶色の灯りは はっきり言って心もとない
バイクで走る時 特にカーブでは道の先を見たいのにそこは闇に包まれたままだからだ
俺一人だけだったら不安どころか怖い気がする
ハイビームで照らしながら先頭を走っているケンゴに付いて走り 後ろにはテルが居る事の安心感を改めて感じた
大町松川を抜け豊科あたりまで良いペースで走って来れた
行きと同じ道を走っているんだけど まるで違う道に感じるし帰りの方がずっと短く感じる
行きと帰り 昼と夜って違いはあるけど景色も距離も同じなのになんでだろうな?
海・山・川は終わり 市街地に入る前に行きでも寄ったパーキングで一休み
「結構つかれたなぁ」と俺が言うと
「そうだなぁ でもここまでくればもうちょいだ」タバコをふかしながらテルが言う
「最後カツ先頭走る?こっからなら道も分かるら?」とケンゴ
「ん〜 じゃあ先頭行くかな もう水門まで行っちゃう?」
「ああ 途中なんもなければ行っちゃおう」
「分かった」
「よっし 行くかぁ〜」
俺 ケンゴ テルの順でツーリング再開
松本の市街地に入ると車が詰まってくる 昼に比べて乗用車が減って代わりに大型トラックが多く走っている 物流の
山の中と違って街中は光に溢れている
車のライト 店舗や看板の灯り 街灯や信号
俺達もその光の一部になって走っている
市街地を抜けて塩尻峠に入る
これがこのツーリング最後の峠だ
峠に入ると車の流れが変わりペースが上がる
かなりのスピードで走る大型トラックに囲まれながら峠を上るにつれ しんみりした気持ちになって来る
反対車線を気持ちいい〜とか思いながら下っていたのがずいぶん前の事の様に感じる
峠を上り切ると夜の諏訪湖が見えた
真っ黒な諏訪湖の周りを街の灯りがぐるりと囲んでいる
この見慣れた夜景を見たらホッとして体の力が抜けた
それと同時に寂しい気持ちにもなる
(ツーリングも もうすぐ終わりか…)
峠を下り 岡谷市街を走り
スタートにしてゴールの釜口水門に着いた
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