第15話 初ツーリング その白馬小谷日本海
山とスキー場の村
(オレ この道好きだ〜)
白馬駅の辺りは車の流れが悪い所があったけど
そこを抜けたら 視界が一気に開けた
アップダウンが少なく キツいカーブも無い
遠くの山まで見通す事が出来るし 空が広い 青い
今はまだ時期が早いけど 初雪が降ると
紅葉で赤や黄色に染まった山の上部を白い雪が覆い その上には青空という
とても美しい景色が見れる場所だ が
それはそれとして
…ケツが痛い
失礼 お尻が痛いのでございます
長時間バイクに乗っているせいだろうけど
だんだん痛くなってきて シートの前の方に座ったり 後ろの方に座ったり 前かがみになってみたり 色々試したがあまり効果は無い
自分のケツがこんなにヤワだったとは…
なんて思っていると 前を走るケンゴがヒョイッとケツをあげた ステップに立ち上がっている
なるほど それだな オレもステップに立ち上がる
おー コレは良い 固まっていたケツがほぐれるし 股の間を通る風が気持ちいい
ケツも回復して しばらくいい気分で走ってから休憩となった
「いや〜 バイク気持ちいいなあ」
「だろ?」
「だから言ったろ?ツーリング超楽しいって」
「思ってたほど寒くもないしな〜」
「天気もいいし気温も上がって来たし 革ジャンで丁度いいわ あ そう言やあ 革ジャンもメットも良いやつなんだな ショットとショウエイ」
「え?」とテル
「ああ」とケンゴ
「ショット?」
「そうだよ メットと言えばショウエイだろ?」
「あ そうそうショットな」
「いやいや テル ショットって知らなかったろ?ごまかされねーぞ」
「いや知ってた知ってた スコットだなんて思ってないよ」
「オレと同じ間違い方してんじゃねーよ」
「だから5000円でいいわ」
「だからって何だよ くれるって言ったじゃん」
「まあまあ 革ジャンでショットっつったら有名だからな〜」
「いや絶対知らなかったろ?」
「じゃあメットも5000円でいいわ」
「いや じゃあじゃねーよ 何のっかって来てんだよ」
「まあまあ どっちもメーカー品だからな〜」
「な〜」
「こう言う時だけ息ピッタリだなオマエらは」
「…分かったよ でもケンゴは今朝遅刻して来たから罰金5000円で テルはマフラーがうるさくて精神的苦痛を受けてるから慰謝料として5000円請求したい所だけど 革ジャンとメットでチャラでいいわ」
「…」
「…」
「いや よくそうポンポン言葉が出てくるよなカツは」
「うんまあオレってほら 頭いいから」
「いやそれは無いわ」
「まあそれは無いけどな」
「ホント息ぴったりだなオマエら」
「冗談だよ やるよ まあどっちも新品じゃあないけどな」
「そんなの全然いいよ ありがたく使わせてもらうよ」
「さって この後カツ先頭走って見る?一本道だし」
「カツのペースで走ればいいよ」
「ん〜じゃあそうするかな」
「よし んじゃ行くかぁ ここまで来れば日本海までもう少しだ あ 突き当たったら右行きゃあいいから」
「りょ〜かい」
オレ ケンゴ テル の順で走り出すとすぐに
隧道と温泉の村
(オレ この道キライだ〜)
隧道って知ってる? トンネルと違って片側が開いている半トンネルみたいなやつの事なんだけど
山の側面をコの字型にくり抜いて作ってあって 開いている方にはズドンズドンと柱が立っていて 柱の間からは外が見えるんだけど 昼間でも薄暗いし クネクネしてて先が見通せないし
ヤバい所で先頭に替わってしまった
自分の前にバイクが居ると そのバイクの動きで 緩いカーブだな とか スピードを落とさないと曲がれない急カーブだな とか 予想出来るから走りやすいんだけど 先頭だとそうはいかない 車でも同じ事なんだけど バイクの運転経験が圧倒的に少ないからどうしてもおっかなびっくりになってしまう オマケに周りの車が結構なスピードで走ってるから オレもそれなりのスピードを出さなきゃいけない様な気になってくる
でも何事も経験だ いつも人の後ろについて走ってられる訳じゃない
道路状況に合わせて 自分のペースで 走れる様にならなくちゃいけないんだ
きっとケンゴもそう考えてオレを先頭にした…なんて事はケンゴに限って絶対にないけど
ウッシ!気合い入れて行くかぁ~!と思ったが 嫌なものは嫌なのであった
ヘロヘロふらふらと隧道トンネルエリアを抜けると空気が変わる
山が終わり市街地に出た 気温がぐっと上がるのを感じる
少し走ると また空気が変わる
海の気配がする
風に潮の匂いが混ざる
T字路が見えた 突き当たりの向こうは 海! 海!! 海!!!
来たーー!!!
眼前に広がる日本海を見ながら右折し海沿いの道を走る
メットのシールドを上げると 海風と共に潮の香りがオレの顔面に叩きつけられる
「うは!海くせぇ!!」 注 喜んでます
ブルルルルルルー!!!
隣の車線をケンゴが加速して行く
ダッダッダダダダッ!!!
続いてテルが
「ははっ!」 自然と笑顔になる
ブウウゥゥゥーン!!!
オレも加速しながらステップに立ち上がり全身で海風を浴びる
左を見れば 視界は空と雲 そして
海!!!
「うおー!! 海ーー!!!」
バイクから見た初めての海は
めっちゃキラキラしていた
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