第9話 初ツーリング その前

「もしもし カツそろそろ免許取れたけー?」ケンゴだ

「免許っていつの話よ もうガンガン乗ってるっつの」

「は?マジで? 何だよ 早く言えよー」


ガンガンどころか 乗り始めたばかりだったけど

思わず見栄を張ってしまった


「んじゃ次の日曜 ツーリング行こうぜ!」

「次の日曜?」

「ん?何か予定あった?」

「あー…いや 別に いいよ行こうぜ」

「よし じゃあテルにも聞いて また電話するわ」

「はいよー」


いや まだ慣れてないから とか

あんまり遠くはちょっと とか

すでに言える状況ではなくなってしまった


しばらくしてケンゴから電話が来た

「テルもオッケーだって言うから決まりな」

「お…(こういう時に限ってスパッと決まるんだよな…) おー で どこ行くだ?」

「とりあえず 釜口水門かまぐちすいもんの自販機のトコに七時って事だけ決めた どこ行くかはテルと考えとくわ」

「んー 了解 七時だな?」

「そう 七時 んじゃな~」

「うい~」


ツーリングかあ 行きたいけど もう少し慣れてからが良かったなぁ…

まあ メンテもしたし 何とかなるか…



――― そして ツーリングの前日

通勤や仕事終わりに出来るだけ乗って XJRにもだいぶ慣れてきたし

天気予報では明日は全国的に晴れ どこに行くか知らんけど

超楽しみになって来た!


学生の頃なんかに イベントの前日に 楽しみすぎて全然寝れなかったよ~

とか言う同級生が居たりして

「楽しみ過ぎて寝れないとか子供かよ~?」

なんて言ってたけど

そう言う自分もそうだったし

なんなら今でもそうです

と言うか今まさに布団ふとんの中で目がえまくってます


やばいコレ 寝れる気がしない すでに気持ちが明日に飛んでいる

分かってもらえるだろうか 早く寝なきゃと思えば思う程 目が冴えていくこの感じ

とっくに日付が変わっているというのに

いつもならとっくに寝ている時間だというのに

オレの体はどうなってしまったんだ?

もういっそこのまま起きていた方がいいのか?

いやいや 流石さすがにそれはやっちゃいけないだろう こんな事なら 早めに布団に入るとかしないでいつも通りにしていればきっと今頃は眠っていたのに あれ そういえばツーリングって何持ってけばいいんだろ? カッパはいらないよな?晴れ予報だし つか持ってないしな シートに付けれる様なバッグとかあったっけ?ゴムひもでとめて ってバッグもゴム紐もねえな あ~服どうすっかな 革ジャンとジーンズはいいとして 長Tの上に半袖T着ればいいか 帰りが遅くなりゃあ寒みぃかなぁ 何かウィンドブレーカー的なやつか… あ~だったら下もタイツとか穿いといた方がいいかな… まあ どっちもねえけど ってオレ何ももってねえじゃん バイク用の装備も少しずつ揃えてかないとな~… … ぐぅ … すや …




そして目が覚めた…


いや まだ5時じゃん!

どんだけ楽しみにしてんだオレは!子供か!

流石さすがにまだ起きるには早すぎるわ 6時までもっかい寝よう と思ったが…

う… しょんべんしたい…

寝れない事は分かってたから アルコールの力を借りようと寝る直前にビールを飲んだ事が裏目に出たか… いや あと1時間位我慢できるはずだ

しょんべんしたいのは気のせいだ オレは寝るぞ 寝るんだ…


無理でした


しょうがない トイレ行ってから2度寝しよう…

電気をつけずに 目を閉じ気味にして オレはまだ起きないぞと無駄な抵抗をしつつ用を足し 部屋に戻る


はい 目が覚めました


ふう…しょうがない…準備するか…


顔洗って 食パン1枚食べて 歯を磨いて 着替えて 革ジャン グローブ メット ブーツ バイクのキーを用意して一息つく… … …

…うん 眠くなってきたね…


そうだよね… ろくに寝てないからね…


何なのこの 頭と体が噛み合わない感じ


もー 寝る 断固寝るぞオレは


オレは着替えたまま横になった …ぐう 






  











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