第4話 はじまり

無事中免ちゅうめんを取得したオレは仕事終わりにレッドバロンに来ていた

今日はバイクの納車の日だ

白いXJRに一目惚れしたオレだけど 教習所に通っている間にバイク雑誌を読み XJR CB ZRX ゼファー GSXを何度も見比べ 悩みに悩んで決めた


「じゃあ こちらになります」と言って店員がバイクを運んでくる

「あれ? 黒じゃん」

「白って言ってなかったっけ?」

車で送ってくれて納車に付き合ってくれた 会社の先輩クスダさんとアマイさんが

それぞれ声をあげる


運ばれてきたバイクはXJR400の黒


「はい ずっと白がいいと思ってたんですけど ちょっと前に黒が入荷して

見比べたら 白は綺麗だし大きく見えて良いんですけど 黒の方が締まって見えて

カッコいいなあ と で悩んだんですけど黒にしました」


「ま 西藤さいとうが良きゃいいんじゃね?」

「大事なのは自分がどう思うかだからな」

「はい そうですよね」


納車説明を受けて車両引き渡しとなる

オレの顔はゆるみっぱなしだ


「ちょい 装備着けてまたがってみ」

「はい」


オレはこの日の為に揃えた装備

普段から穿いているジーンズに

セダークレストのリングブーツ

テルから貰ったSchottのレザーシングルライダース

カドヤのショートレザーグローブ

ケンゴから貰ったSHOEIのフルフェイス

を身に着けバイクにまたがる


「お いいじゃん 似合う似合う」

「カッコいいじゃん」

「ホントですか?」

「マジマジ」


この時のオレはメットの中で相当だらしない顔をしていたと思う

嬉しいけど何だか恥ずかしくて


「よーし じゃあ気を付けて行けよ」

「車でしばらく後ろついてってやるから」

「はい お願いします」


サイドスタンドをあげてエンジンをかける

とたんに緊張が高まり 胸がどきどきしてくる

ついにバイクで公道を走るんだ

教習所の卒検からは日が経ち久しぶりのバイクと言う事もある


左にウィンカーを出して発進

(うおおおおお…… やっば オレめっちゃ緊張してる)

車では走り慣れた道もバイクでは全くの別物だ 風景すら違って見える


時に23才10月 オレはこの日 この時 確かに走りだしたんだ


1人のバイク乗りとして











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