三国志フリークでないと恐らく知らない2人を題材に取り(私も知りませんでした)、僅かに残る史実から巧みに話を発展させて悲恋物語に仕立てた作者・水城洋臣さんの筆力と知識に感嘆しました。確固とした知識に基づいた歴史解説と悲恋物語のバランスが素晴らしく、語り口も格調高い文体ですが、分かりやすいです。三者三様の想いが絡まりあうラストは切なくて尊くて、胸がキュンとしました。
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「ただ鴛鴦を羨みて、永遠の命は羨まず」娯楽性と文学性の両立が見事です。「西涼女侠伝」へのスピン・インをお薦めします。