サークル
サークルよりも緩いコミュニティで出会った大学の先輩だった。
良い意味の女の子扱いをされた私は、初めて会った日に別れるのが名残惜しいと思った時すでに、恋に落ちていた。
今まで、恋、片思いをしなかったとは言わない。でも、それらは全部甘くて、こんなにも苦くて切ないものではなかった。多分これが本気の恋なんだと思った。
告白して気まずくなるのが嫌だった。もしかしたら、コミュニティに行きづらくなり、失うかもしれない。それだったら、普通に会える方を選ぶ。自分の感情を閉じ込めて、誰にも悟らせないようにし、知り合いの先輩、後輩の立場でいればいいから。
2つ違い。だから卒業するまであと、1年半。そのようにタイムリミットを定めていた。
春休み後、久しぶりに会えるのを楽しみにしていたが、コロナで大学はオンライン授業になった。その先輩に会えることをほのかに期待しながらコミュニティに向かってビデオ会議ツールを開き続ける日々。
後期はオンラインではあったが、たまに会えた。それでも、忙しいのか最後の2ヶ月ほどは全く会うことができなかった。淡い想いは打ち砕かれ続ける。
そして今。
その人は卒業して、海外へ留学する予定だ。
もう会えない。
残ったのは、SNSのグループに追加してもらう時に交換した、消せない個人のSNS。
アイコンと名前をじっと見つめて私はスマホの電源を落とした。
大学生の2020 郷野すみれ @satono_sumire
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