第25話…「子供は大人に隠し事をするモノだけど、何も教えてもらえないのは、結構辛いッ」
――――「ラピスの精霊湖(日暮れ前・曇り)」――――
料理を担当しているコボルトの女性陣3名、お天道様が傾き、日暮れが近づいている時間に、せっせと夕餉の支度に精を出していた。
アレッド達の畑で実験的に育てられているジャガイモ、精霊湖の水の分量で区分けして、収穫時期が来たモノを随時収穫し、ソレが食卓に並ぶ。
「今日のジャガイモは、なかなかイイ感じじゃんか」
カゴに納められたジャガイモを取りながら、男勝りな黒毛コボルトのアルスが、口元を緩ませて、他のコボルトたちに見せつける。
その様は、まさに自身の成果を見せつける男の子のようで、どこか微笑ましく、他のコボルトたちは、ふふふっと微笑みを絶やさずに頷いた。
「そうね~。最初の頃にできたモノは、すごく大きいか、すごく小さいかの二択で、割れているモノも多かったけれど、今日のは大きいモノばかり、それに割れているジャガイモも少ないわ」
ここに来て1カ月しか経過していないというのに、そもそも畑製作から植え付け、収穫までが速すぎるのだが、ソレはまさに精霊湖の水、その力の強さを象徴しているモノだ。
あくまで植物に対して、ウンディーネとしてだけではなく、ノームとして植物に影響を与えやすくなったラピスの力あってのモノ。
1回目の収穫など、種植えから収穫まで、だいたい100日と言われるジャガイモが、最初の収穫は10日…10分の1の期間で収穫時期を迎えた。
アレッドも含め、誰もが驚いたものだ。
とはいえ、発育が速すぎるのと同時に、成長過多となって割れるモノも多く出たし、大きさも揃わずに、味も大しておいしくも無く、結果としては良い出来ではなかった。
しかし今度は、まだまだ大きさにムラはあるものの、割れも少なく、普通の畑で作っているジャガイモと、遜色ないモノになってきている。
こういうジャガイモもあるよね…と、見慣れた出来のバラつきと言っていい。
コボルトたちにとっては、ソレすら昨今ではなかなかお目に掛かれなかった出来だが…。
魔族領では、その環境の問題もあって、畑1つをとっても、なかなか安定したモノを作る事が難しい。
力のある魔族は、獣や魔物を狩り、その血肉を食べる事で問題の無い生活を送る事ができるけれど、戦闘能力が高くないコボルトたちにとっては、狩りという選択以外を選ばなければいけなかった。
危険を承知で、森の中に食べ物を採りに行ったりもした…、同じ危険でも、直接その危険へ向かって行くモノではないから、コボルトたちは必死で食材を集めた。
畑の栽培も、その選択肢の1つだ。
森で、人の手でも栽培ができるモノを集め、畑を作り育てる。
しかし、それだけの事が難しい。
畑作りとはそう言うモノだった。
王都でも、野菜、農作物の需要はある。
肉ばかりでは飽きる…と、野菜を作らせ、料理を作らせた。
需要があり、作る事も出来る…が、そこはいくらでも金を積む事の出来る者達とでは、やはり比べるべくもない。
コボルトたちの畑は、なかなかに良い実りを作ってはくれなかった。
ほとんどが枯れるか腐ってしまう。
できても小ぶりなモノばかりで、主食と呼べる代物には到底成り得ない。
結果、畑作りは当然続けるが、目を背け続けるのではなく、狩りもやっていく事にした。
罠を幾重にも張って、村の男衆が総出で、1匹の獣や魔物を狩る。
他の力のある魔族なら1人で熟せる狩りを、10人越えで、死ぬ気でやって、ようやく成功を収める。
そんな日々を彼らは過ごしてきた。
だからこそ、畑のありがたみがより一層身に染みる。
出来上がったジャガイモを、ニコニコしながら皮むきするアルスは、そのありがたみを一際強く感じていた。
「ヨセフじゃないけどさ。私も、このジャガイモを夫に食べさせてやりたいよ」
「そうね~。私も、あの子にこんなジャガイモを、お腹いっぱい食べさせてあげたかった」
和気あいあいとした会話だったにも関わらず、突如として、どんよりと調理場の空気が落ちていく。
そうなるのにも、理由があった。
コボルトの女性の中でも、男勝りが過ぎるアルスは、狩りの中で夫を亡くし、ミセスは夫スミスとの間に生まれた子供を、栄養不足による病気で亡くしているのだ。
ふと思い出して、気持ちが落ち込んでしまった。
お互いに、食分野が豊かになった分、過去の貧しかった時期が脳裏に過り、あの時にコレがあれば…と不覚にも考えてしまう。
2人とも、そんな過去はとうの昔に克服しているつもりだ。
それでも、不意に出てきてしまった記憶は、なかなか頭から剥がれない。
同じ環境下で思い出したなら慣れたモノ、いつもの事だと気にする事もないし、生活するのに精一杯で気にしている暇もなかった。
ほんの少しな幸せでは、そのつらい過去はぶり返しても弱い…、幸せであっても辛さの方が勝るから。
しかし、今は違った。
過去が遠いモノになり…、それこそ、自分達が一番平和を感じていた王都での生活時代よりも、もっともっと幸福な時間を感じる精霊湖での生活。
魔物に襲われる心配も、明日の食うに困る心配も、何も無い…、コボルトたちにとって、その幸せはメーターを振り切っている。
幸福になり過ぎて、コレが当たり前でありますように…と、無意識的に過去にガッチリと蓋をしていた。
だからこそ辛い。
この生活の足元に、その日を生きるにも死が隣り合っていた暮らしの日々、その記憶を見るのが…。
どんよりとした空気に拍車がかかる様に、ジャガイモの皮剥きの手も止まって、肩も落ち始めた。
さっきまでニコニコしていたのが、嘘のように暗い顔をし始めるアルスや、その負に引っ張られるミセス。
「はいはいっ。過去を振り返ってもあの頃に失ったモノは戻って来ませんよ? 私達がすべきは、今を存分に楽しみながら逝ってしまった人たちの分も、元気に生活する事です」
見かねた料理長ヨミアは、落ち込みを見せる料理仲間を見かねて、パンッパンッと手を叩き、2人を励ます。
「もちろんあなた達の気持ちはよくわかるわ。私も似たような理由で両親を子供の頃に両方亡くしているもの。でも駄目よ? 笑顔笑顔。生き残った者の責務。幸せにならなきゃ」
両親が死ぬ、子供が死ぬ、相方が死ぬ、友達が死ぬ、そんなモノ、コボルトたちにとっては日常茶飯事だ。
誰もが一物を抱えている。
「そうだ…そうだなッ。悪い悪い。柄にもなくしんみりしちまった」
「ええ、私も、ごめんね」
「いいのいいの。あなた達の痛みは私達の痛み。コボルト族はその痛みを皆知っているから、だからこそ誰かがくじけたら、引っ張ってあげないと」
いつもの雰囲気を取り戻した2人に、ヨミアは微笑みを向けた。
幸福と不幸、落差があればあるだけ、浮き沈みも激しくなる。
沈み、落ちていく深度は確かに深いが、その分、上がる高度は、とても高い。
沈んでいたらもったいない、ヨミアはそう続けるのだった。
ヨミアに引っ張り上げられたミセスは、何かに気付いて、再び調理の手を止める。
「そう言えば、イオラちゃん来ないわねぇ~」
周囲に目配せをして確認するが、それらしい姿を見つける事が出来ない。
ラミア族のイオラは、ココに来た時こそ、ふさぎ込むような事もあったが、すぐに影を薄め、一生懸命ここでの生活に努めている。
調理への参加も、彼女のがんばりの1つ。
3人で料理をし、余裕があればアレッドも参加するのだが、それでも人数分…15人の料理を作るのは大変なモノだ。
そんな中でイオラの手伝いは、大いにありがたかった。
頑張って頑張って…、料理の下ごしらえをする姿は、ヨミアの目には、どこか必死で、思いつめているような雰囲気を感じる瞬間もあるのだが、少女自身が自分はできるから…と手を緩める事が無く、とにかく必死にやるので、見守る事に徹していた。
いつもなら、調理を始めた段階か、少し経ってから姿を見せるのだが、ミセスが言う通り、もう少しで下ごしらえが終わる頃合いにも関わらず、イオラの姿は見当たらない。
「最近、夕餉の支度の時に遅くなる事がよくあるわね?」
「そういやそうだな。朝と昼はいつも通りに来るけど、夜の方は遅れがちだ」
ヨミアだけでなく、その少女の変化に、アルスも気が付いている様子。
「夫に聞いたけど、最近イオラちゃん、夫の山菜採りに付いて行ってるみたいよ?」
「え~? 私はスミスから畑仕事を手伝ってもらってるって聞いたわ~?」
ヨミアの夫…黒毛羊コボルトのベッツは、霧の外へ山菜と採りに行く…、もちろん採りに行くのは迷いの霧の外、その時は、護衛としてハティが散歩がてら同行している。
ミセスの夫…白毛羊コボルトのスミスは、アレッドと共に畑の実験だ。
「たぶん両方手伝ってるんじゃねぇか? 私は畑を手伝ってるのも、ハティ様と一緒に居るのも、両方見た事あるぞ?」
「じゃ~、ここ以外にも手伝いを一杯やってるのね~。イオラちゃん偉いわ~」
「でも、ソレとコレとは話が別よ。イオラちゃんが料理の手伝いをしてるのは、男衆も皆知ってるはずだし、こっちがあるのに引き留める事はないでしょ?」
「でも、山菜採りに行ってるんなら、時間だからここに来ます…なんてできんでしょ。霧の外に行ってるんだから」
アルスは森の方を見た。
ここからではひたすら深い森が続いているようにしか見えないが、確かにその先に霧がある。
時折、ココでの生活が快適過ぎて忘れそうになるが、この湖は迷いの森の中にあるのだ。
霧の外は危険がはびこる場所、危険だからこそ、全てが予定通りに行くなど、あり得ぬ世界である。
『ごめんなさいッ。遅れちゃった』
そこへ、噂をすれば、本人が姿を見せる。
「イオラちゃんッ。遅かったわね~」
不安な表情から安堵の表情へ変わるヨミアと違って、ミセスいつもと変わらないのほほんとしたゆったり顔で、足早に近寄ってくるイオラに手を振った。
「あらあら、イオラちゃん、汚れが目立つわね~」
この世界は、アレッドの前世の世界と違って、多少の汚れは許容範囲の価値観だが、そんな価値観を踏まえた上でも、イオラの汚れはミセスの目に着いた。
「とりあえず、お手伝いに入る前に、スイ道で汚れを取ってもらいましょうか~」
少々息の荒い少女の手を取り、彼女は水場の方へと引いて行った。
現在、この湖には風呂が無い…、今まさにアレッドが製作中ではあるけれど、汚れもスイ道があればどうにでもなる環境なために、その建築は後回しになっている。
そもそも風呂に入るという習慣が無い者が大半なため、スイ道が無かったとしても、後回しになった事だろう。
アレッド自身は、早急に小さいモノでもいいから作って、風呂で体の疲れを取る習慣づけをしてから、大浴場を優先的に作ってほしい…と皆に思われたいなどと、一人で画策していたりする。
住人の中でも、サキュバスのアパタは、身だしなみに気を使うので、早急に作ってほしいと言ってくれている1人だが…。
この件の解決は、当分先の話だ…。
そんなアレッドの思う風呂事情は置いといて、今のこの湖での汚れ取りは、もっぱらスイ道だ。
「スライム様スライム様、イオラちゃんの体の汚れを取ってくださいな~」
水場は、キャンプ施設によくあるような形の作りになっている。
石造りで長方形の水受けに蛇口が3つ…、しかし蛇口に関しては本来あるべきモノとはだいぶ違った。
ソレは金属でできている訳でもなく、スライムがアレッドからこういう形をここでは作っておいて…とお願いされて、蛇口の形になっている。
つまりは蛇口とは言うが、スライムが蛇口の形をして、ニョキッと生えているのが、ココでの水道だ。
もちろん、蛇口をひねって水を出す…なんて機能も存在せず、必要な時に必要な事を直接スライムに伝えてやってもらう。
ここ最近、また大きくなったスライムだからこそ、出来るようになった芸当の1つだ。
ミセスが伝えた事を、スライムが実行すると…。
「うぉっぷっ…」
蛇口がヌルッとミセスに手を引かれたイオラの方へと伸び、一瞬にして少女を呑み込むように、布のような膜を作って、ビクッと体を震わせる少女の飲み込んだ。
「うぷぷぷ…」
そこからは一瞬だ。
タオルで体を拭くように、その膜が体をなぞり、スライムが汚れを綺麗に消化していく。
ソレが終わると、元の蛇口の形…サイズへと戻り、何事も無かったかのように、次の指示を待ち始めた。
「これでよ~し。今日はもう下ごしらえは終わっちゃったから、具材を煮込む方をイオラちゃんには手伝ってもらいましょ~」
「は…はいっ」
蛇口に向かってイオラは軽い会釈をして、調理へと戻っていく。
汚れを取るまで、10秒と掛かっていないだろうか。
単純な汚れ取りだけを考えるなら、スイ道のソレは、洗濯や体の汚れ取りなど、岩のある岩場でごしごしと石を使って洗っていた選択や、寒さを我慢しながら行う水浴びなど、それらは何だったのか…と思う程に手間いらずだ。
風呂に入る習慣が無いのなら、その気持ちよさも当然知らない。
風呂の気持ちよさは、果たしてその手間いらずな快適さに勝てるのだろうか。
アレッドの策が成就するのは、まだまだ時間がかかるだろう。
そして、今日も問題なくその日が終わっていく。
「それでイオラちゃん、今日はどうして遅かったのかな?」
食事の片付けの時、使われた食器をスイ道の水受けに並べながら、最後まで手伝ってくれているイオラに、ヨミアは聞いた。
「えッ!? それは…その…」
「あ、ごめんなさい。別に怒ってる訳じゃないのよ? 最近遅れる事が多いし、ちょっと心配になっただけだから」
咄嗟に投げられた質問に、視線を落とす少女の姿を見て、不安になる事はない…と彼女は訂正する。
イオラは、アルスたちが言っていたように色んな所で手伝いをする…、とても偉い子…頑張り屋だ。
ソレはヨミアもそう思っている。
だからこそ心配するのだ。
頑張り過ぎてはいないか…、自分の見ていない場所で、疲れで倒れてやしないか、そんな不安が頭を過る。
実を言えば、ヨミアは、薄々ながら気づいている。
少女が手伝いに遅れる理由が、他の場所の手伝いではない事を。
今日は、夫ベッツの山菜採りに、イオラは付いて行っていない…、その山菜採り自体、今日は無かったからだ。
そして、畑の方も、ついこの間できた野菜を植えて、出来た場所に新しいモノを植えたばかり、元々植えてあったモノも、まだ収穫が先で、手伝う事はほとんどない。
それだけなら些細な事だ。
問題が消去法で消えていっただけで、他の選択肢が浮上するだけ。
しかし、その選択肢も、ヨミアにとってはあって無いようなモノだ。
ヨミアは、今日とは別の日に、森の方へと進んでいくイオラを見ていた。
その日は山菜採りも行われていた日で、調理の手伝いに、少女が遅れた日でもある。
最初こそ山菜採りが長引いたのか…程度にしか思っていなかったけれど、今日はそうはいかない。
今日は、山菜採りが無い、畑の手伝いも無い、あるのはアレッド達の訓練ぐらい。
アレッドは、決まった日数働いた後や沢山働いた後は、重要でなければ必ずゆっくり休む日を設けるようにさせている。
ソレが今日、いくつも重なった。
畑の仕事、山菜採り、鍛冶に大工、衣類系、珍しいがとにかく今日は皆休んでいる日だ。
遅れる理由がイオラ自身の私情以外に無い。
「まぁイオラちゃんもお年頃だし、遊びに夢中になって、時間を忘れる事もあるわよね。そもそもイオラちゃんの善意で手伝ってくれてるんだから、来るも来ないも自由だもの。だから深入りするつもりはないけど、何かあったら相談するのよ?」
「う、うん。心配かけてごめんなさい」
ペコリと頭を下げる少女の顔は、悲しげだった。
「じゃあ、ココはもういいわ。あとは食器をしまうだけだから。一杯遊んでたなら、イオラちゃんも疲れたでしょ? 今日はもうおやすみなさい」
「はい」
再び頭を下げて、イオラは調理場を後にする。
『ヨミアは心配しいね』
去っていく少女の後姿へ、いつまでも手を振っているヨミアの脳内に、突如として声が響く。
ビクッと体を震わせた彼女は、慌てて周囲を見渡して、その声の主をその目に捉えた。
ラピスが、水でできたハンモックのようなベッドに体を預けながら、アレッド手作りのポテトチップスを食べていた。
「び…びっくりしました。見苦しい姿を見せてすいませんラピス様」
『いいよいいよ。あっちゃんも慣れたとはいえ、まだまだ驚く時あるし、私もそう言うモノだって割り切ってるから』
「それで…その…」
アレッドとは接する機会の多いが、ヨミアに限らず、新しい住人はラピスとそこまでコミュニケーションをとる訳ではない。
強いて言えば、食事時に顔を合わせ、料理の感想を聞きはするが、それ以外となるとからっきしだ。
アレッドに教わりながら、料理のレパートリーも増え、今ではラピスに合格を貰っている。
しかしそれだけで、世間話をするような間柄という訳でもないため、精霊相手にヨミアは緊張からカッチカチに固まってしまった。
『そんなに固くならないでよ。ご飯の時に話をするじゃない。その時と同じ感じでイイよ?』
「そ…そっそそそうは言いましても、どうすればいいのか…」
慣れない事をヤレと言われても、人間そう上手くは熟せまい。
ラピスは察した上で、今回は端的に要件を言った。
『この前、あなたがあっちゃんに相談した事、イオラが手伝いに遅れて心配だって話。あの子、霧の外に出ているようよ』
「外に…ですか」
やっぱり…と、疑いから来る胸のモヤモヤが取れると同時に、心配からくる胸の締め付けをヨミアは感じ、胸元で手を握った。
『何かあってもすぐに気付けるように、契約獣を護衛として付けてるから、そんなに心配しなくてもイイよ。この事はあっちゃんにも伝えてあるから、何かあったら、あっちゃんがすぐに駆け付ける』
「ソレは…その…ありがとうございますッ!」
ヨミアは深々と頭を下げると同時に、胸の締め付けが和らぐのを感じた。
霧の外に出ているという心配は大きいモノだが、手伝いを頑張り過ぎて過労状態になっている訳じゃない…と安堵する。
同時に外に危険に飛び込んでいる…という心配はあるが、アレッドがすぐに助けに行けるのなら、そこまで不安となってのしかかってはこない。
『という訳で、大丈夫。私とあっちゃんが保証するわ』
その事を伝えて、ラピスは頭を下げ続けるヨミアを置いて、その場を後にした。
『みんな他人を心配する余裕がしっかりできてきた感じね』
自分の精霊樹の部屋へと戻る中で、もう一度ヨミアの方をラピスが見ると、見えなくなったイオラの背を追うように眺める姿がある。
その姿を見て頷きながら、アレッドと考えていた計画を、頭の中に思い返すのだった。
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