第46話 杞

 起き上がる理由が見つからなくて気づいたら昼になっていた。久しぶりだ。あの長い長いまどろみに浸っていても現実は何一つ変わらないのに。

 飽きた。飽きることにも飽きた。もうどうにもならない。

 ただ、以前ほど憂鬱に襲われることは無くなった。これでよかったのかもしれない。自分の思想を固める時間もなくなった。自分のことを考える時間がなくなった。それは有益な時間ではあったけどそんなこと考えたって憂いは晴れないのだから、さっさとこうすればよかった。それも結果論ではあるが。

 短絡的な幸福に飛びついた愚かさの延長線上に今があるのだから、いつか終わる物語とはとっくの昔から気づいてはいる。無力な私には終点がまだ先であることを祈ることしかできない。

 疲れている。疲れていることさえ忘れようとしている。

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