24「幼女王との話し合い」

「なんとこんなに白く上質な糖が作れるとは!」

「砂糖といいます。俺たちの世界では庶民も手軽に買えるほど広く流通していました」

「凄まじいな。まるで文明が違うではないか」


 現代の科学技術について説明を求められたが俺の知識では説明しきれないところが多くあった。だが無尽蔵に砂糖を出せるというわけじゃないと言ったせいか他の調味料はそこまで興味を持たれなかった。


「お主の類まれなる知見だけでも国が保護をするに十分な理由がある」

「ありがとうございます」


 ただの高卒のラーメン屋の知見なのですが。

 俺は幼女王に気に入られることに成功した。タヌキ親父は新王派の貴族、稀人の俺の存在に気づき幼女王に差し出すためにここに連れてきたらしい。俺が王に取られることは期待通りということ。

 俺は毎日砂糖を生成することを進言した。


「ふぅ、このくらいなら余裕だな」


 砂糖はかなり余力を残した量しか作らない。他でも使いたいしね。




タカシ レベル24


24056  /  33000


ラーメン屋台召喚 レベル3

さしすせそ レベル7(MAX)

食材鑑定  レベル4(MAX)

殺菌・無毒化

油生成   レベル4(MAX)

香辛料生成 レベル2




 俺がスキルで何かを作るとき物に関わらず100グラムで100ポイント消費する(水道の水は100グラム1ポイント)。ポイントは寝ている間に全回復する。コンロや水道を使っても消費するのでかなり余力を残しておきたい。

 国の保護を受けた俺たちだがもうそろそろアンが限界だ。侯爵家にいてもストレスを溜めていたのにそれが王宮ならばなおさらだ。数日幼女王とは話をしたので関係もある程度できてきた。もうそろそろ話を切り出してもいいだろう。


「俺にはすべき仕事があります」

「言ってみろ」

「庶民の食糧事情を改善することです」

「うむ」


 かなりうる覚えであるが前日農業について肥料の作り方を提案した。今のところ俺の仕事は砂糖の生成だけだ。ならば王城で作る必要はあるまい。俺は料理人らしく今まで食べてこないかった食材を食べれる調理法の研究を提案をした。名目があれば場内から出してもらえると期待して。


「そもそもお前のこの世界での目的はなんじゃ?」

「ラーメンという料理を作り、多くの人に広めることです」

「どういう料理じゃ?」

「パスタと同じく麺料理です。麺をスープに浮かべて具材と共に食べます」

「うまいのか?」

「俺が思う最高の食べ物です」

「うむ」


 幼女王はしばらく考えたのち許可をくれた。ただし護衛という監視役を付けて用意した屋敷で暮らせという。これで市場には顔を出せるし、アンのストレスも多少緩和されるはずだ。


「ところであの娘がそんなに大事か?」

「え」

「照れるな照れるな。お前が己の欲や保身以外になにかあることはすぐに分かった。それがあの娘のためならば合点がゆく」

「んー正直よくわからないんですよね」

「詳しく言ってみろ」


 時々幼女王はこうしていたずらっ子のような顔をする。貴族相手じゃないから政治的なことを考えなくていいからか?せっかくなので俺は恋愛相談をすることにした。


「俺は明るいあの娘といて楽しいです。ですが抱きつかれても家族と同じようにしか感じないときがあるんです」

「それはまた難儀じゃ。あの娘はお前をオトコとして見てるのか?」

「いえ、そういったところを見たことがありません。俺は今の居心地のいい関係が壊れることを恐れています。だから足を踏み出すことができない」

「なるほどな。不安なのはあちらもではないか?」

「えっ?」

「お前は感情が読みづらいと言われたことはないか?迫れとは言わんが行き違いがあるならそれを正した方がいいとは思うがな」

「……わかりました。彼女と話し合ってみます」

「うむ」


 時々顔を出せと言われ俺は部屋を出た。次の日屋敷は用意された。俺は覚悟をして、アンと話し合うことを決めた。

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