第2話

『すっ・・・すみません。(某牧場ゲームの)牧場主になれるのが、嬉しすぎて(泣』


グルグル回してしまった小さいオジさんこと、町長のスマートさんを下ろす。


「喜んでもらえてよかったよ。

それじゃ〜案内するね。』


目が回ったのかフラフラしてる。

本当に申し訳ない。

牧場に向かう道中、あたりをキョロキョロ。

右を見ても、左を見ても、木・木・木!

本当にこの先に牧場あるのか?

そう、不安になっていると目の前が開け広々とした荒地。

広々とした荒地と言う表現もおかしいが、とにかく広いのに荒れてる。

草はボウボウ。

石や岩がゴロゴロ。

針葉樹や広葉樹も何十本生えてるの?ってぐらい生えてる。

なんで、【木】じゃなく【針葉樹】や【広葉樹】って言ったかって?

フフフッ・・・某牧場ゲームではお馴染み‼︎

広葉樹は古いオノでも切れるが何度も振らないと切れず、針葉樹はオノをレベルアップさせないといけないのだが、そのレベルアップさせる為にも・・・

おっと、興奮してしまった。

一旦、落ち着こう。


「君が引き受けてくれた時の為に荒地を少し整備したんだけど・・・私1人じゃこれが限界でね。」


『そうなんですね。1人じゃ仕方ないですよ。』


そう話しながら荒地の中を少し歩くと奥には木材で出来た建物が見える。


『あれは・・・家?』


「そうだよ!今日からあの家に君が住むんだよ。」


(すっ〜〜〜ごいニコやかな笑顔で言ったけど・・・なかなかなボロさ加減。

2人暮らしだったにしては小さい家。


(まぁ〜ゲームの序盤の家ってこんなもんだよね)


そう思いながら家の中を確認する。

少し古びたベッドと机・椅子。

キッチンは昔ながらの竈門。

手作り感を感じる歪んだ本棚。

壁には今年のイベントなどが書かれたカレンダー。

カレンダーを見てみると前世では一年は12ヶ月だったが、今世はゲームと同じ4ヶ月、1ヶ月が30日しかなく、春夏秋冬で分けて書かれている。

春は桜の月。

夏は海の月。

秋は紅葉の月。

冬は結晶の月。

1日の時間は前世と同じで24時間みたいだ。

ゲームと同じ時間じゃなくって良かった。

ゲームの世界でなら、あの時間でもいいが、

現実で作業をするとしたら全然足りない。

ふと思った・・・

誕生日はどうなるのか?

歳はとるのか?

ゲームでは誕生日はお祝いするが歳はとらない。

結婚し、子供が出来れば赤ちゃんから幼児期ぐらいまでは成長するが、そのあとは何年経っても幼児期のままだ。

住人の見た目も全く変わらない。

このまま歳をとらず、永遠に生きるのは・・・かなり怖い。

(でも、どう聞けばいいだろう?

一応、私もゲームの中の住人。

誕生日がどうなるのか?

ちゃんと歳をとるのか?

なんて今更聞いたら、変に疑われるんじゃ・・・。

出来れば、異世界転生してきた事は言いたくない。

いや!もう、モヤモヤしたまま過ごすのは嫌だし、聞いてみよう!

もし疑われたらアホな子を演じよう!)

一息つき、スマートさんに質問する事にした。

すると、


「アッハッハw

そんな事も忘れてしまったのかい?

一年に一回、誕生した日にお祝いをするけど、歳を数えるのは三年に一度。

三年経ったら1つ歳をとり、さらに三年経ったらまた1つ歳をとる。

君はこんな当たり前の事を聞いて本当に面白い子だねw」


『そうでしたね!アハハw

(よかった。スマートさんが、アホな子で・・・)』


「ん?なんか言ったかね?」


『いえ⁉︎決して何も!』


「それならいいんだが・・・。

そういえば君の誕生日はいつだね?」


『誕生日・・・』


ゲームでは誕生日プレゼントを住人からもらう為に後半の月にしていた。

好感度を上げていないとプレゼントが貰えないからだ。

この世界でも、好感度なるものがあるのか分からないが、

あると仮定して後半の月、結晶の月の20日を誕生日にした。

なぜ、20日か?

結晶の月の月初めだと、まだ好感度が足りない可能性がある。

かと言って後半に持ってきすぎるとイベントに重なり過ぎる。

イベントと重なると誕生日を祝ってもらえない可能性がある。

あくまで可能性だ。

その可能性を考慮し、そして覚えやすさを考えこの日にした。


『誕生日は結晶の月の20日です。』


「そうなんだね!それなら結晶の月の20日はお祝いしないとね。アッハッハw

そうそう!せっかくだし、牧場に名前を付けたらどうかな?

名前を付けた方が愛着も湧くだろうしね!」


(名前か・・・

せっかく大好きなゲームに転生して牧場経営出来るわけだし、

適当な名前は付けたくない。)


『もう少し考えてもいいですか?』


「全然構わないよ!決まったら教えてね。

それじゃ〜今日は君も疲れただろうし、牧場の設備や道具の説明、町の説明は明日するね。」


『なるほど。チュートリアルですね!』


「・・・君は何を言ってるのですか?

とりあえず今日は君も疲れてるみたいですし、ゆっくり休んで下さい。

それでは、また明日。アッハッハw」


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転生したら牧場主になってました。 @mai0514

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